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一致団結

作者: 溜せうゆ
掲載日:2026/06/16

 ある日、何の前触れもなく頭の中に声が響き割った。


「オレはお前たちの言うところの神だ。多少イメージが違うかもしれないがとにかく超越的な存在だ。今日はお前たち人間に施しをやろうと思って話しかけている。まぁいつもこういうことをするわけではないのだが、少し気が向いたのでな」


 どうやらこの声は世界中のすべての人間に聞こえているらしい。


「さて、施しというのはな、このオレがお前たちの願いをかなえてやろうというのだ。おっとまだぬか喜びはするなよ? 当然条件はつける。いいか、お前たち人間みんなが同じ願いを心から願ったとき、その願いを叶えてやろう。そうだ、赤ん坊や意識のないものは除いてやろう。オレは優しいからな」


 おしつけがましく語る自称神の顔が見えたら、さぞ憎々しい顔をしていることだろう。


「願いは何でもいいぞ。不老不死だってかまわない。誰も死なないそんな世界が望ましいかは知らんがな。地球の環境問題を完全かつ永遠に解決してやることもできるぞ。その是非についてすら今でも争っているお前らが意思を統一できるとは思えんがな」


 神がしゃべり続けている間、すでに国際社会は動きだしていたようで、オンラインで願いについての国際会議が招集された。


「ああ、お約束だが願いの数を増やすのだけは却下だ。増やすこと自体は造作もないが、何度も願いを叶えてやるのはオレが面倒だからな。だからきっかり一度だけだ。よく相談して決めるがいい。いつもお互いになにかといがみ合っているお前らが何を望むのか楽しみだな」


 さっそく始まった会議の様子はあらゆる方法で全世界に知らされた。


「今優勢なのは……平和か。まぁ無難なところだな。しかし、せっかくこの超越者たるオレがなんでも願いを叶えてやるといってるのに、お前らの努力でも何とかできそうなことを選ぶとは。やはり人間とは愚かだな。神がいないと何一つ成し遂げられんとは」


 いい加減みんなのフラストレーションが溜まってきたその時――


「もう話し合っても無駄なんじゃないか? 同じ国や民族の中ですら分かり合えないお前らが意思を統一するなんて土台無理な話だったか。現に平和なんて無難な選択肢ですら同意しない奴がいるくらいなのだから、いっそくじ引きか何かで――」


 急に頭の中の声が途絶えた。


 先ほどまであれだけ騒がしかった頭の中が急に静かになったと思ったら、今度は頭の中に文字が浮かんで見えた。


『おめでとう。お前たちの願いはたった今叶えられた。お前たちが心から願った「いい加減うざいから黙れ」という願いを叶えた結果しゃべれなくなったので、このテキストメッセージで失礼する』

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