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異能力バトルスポーツでチームを結成! ~ルールはまったく知りません!~  作者: おかかむすび
一章.始まり

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25/29

24.VSシオン②

 盤面はトップバッターのシグルが交代し、相手のアシスト、ノワールが出てきたところからだ。

 こちらは既にハルマサがやられており、ポルクスも若干のダメージを負っている。

 場に出ているのはバラムで、彼は無傷だ。


 ♢


自陣:バラム 防/速+1

役割:アシスト

アクティブスキル

『命織りの環』@1/2

『聖火の指針』@3/3

『再起の幕』@1/1

『リジェネコード』@1/1

『傷つけること勿れ』@2/2

『希望が再び芽生えますように』@1/1

パッシブスキル

『コンスタントリリース』

『傷の灯』

『生者の責務』@1/1


敵陣:ノアール 防+1

役割:アシスト

アクティブスキル

『???』

パッシブスキル

『アロイヴェイル』

『黄金の血脈』

『???』


▼Tカウント「4」


 ♢


「相手は『毒』の状態異常を扱ってくる可能性が高いよ。それから、クラーケン族は物理攻撃が強い」

「また物理なの? もうバラム君しか受けられる人がいないんだけど……」


 バラムであれば、十分耐えきれるだろう。

 問題なのは、こちらからの有効打もないということだ。


「正直なところ、交代しても後ろの二人は落ちるだけだと思うんだよね。いっそのこと、ここで希望が再び芽生えますようにを使ってもいいよ」

「その場合は、ハルマサさんを蘇生させるって形になるよね。えっと、さっきみたいなことになったりしないかな……」

「多分、一撃じゃない? というか、僕以外みんな一撃だと思う。ただ、クラーケン族は素早さが一番遅い種族だから、ハルマサでも一発は確実に入れられるよ。上げてたら知らないけど」


 ここでバラムが落ちたとしても、ノアールをハルマサで落とせるのなら大きなアドバンテージだ。その後に再びシグルが出てきても、ハルマサの後にポルクスを出せば、今度は確実に倒すことが出来る。

 そうすれば、2-2でエース対決にまで持っていける。


「ハルマサさんで、相手を一撃で倒せる可能性は……」

「無理だね。クラーケン族は体力と防御、精神の初期値に優れてる。一番高いのは攻撃だけど」

「なんというか……苦しすぎない?」


 ポルクスに勝ちたいと言ったはいいが、何をどうしても埋まらない差をひしひしと感じる。

 これは、知識が足りていないとかいう次元ではない気がしてきた。


「殴った体感では、相手のステータスはティル以上、僕未満かな? 多分、350前後」

「スキルの威力も当然だけど、やっぱりステータスの差ってすごいきついんだね……!」

「アマチュア限定の上限が設けられる理由、分かった?」

「嫌というほど!」


 今までは、ポルクスやバラムといった、ステータスの高い味方が自分側だったから感じてこなかった。それが今、自分がされる側になっているということだ。

 ハルマサはほとんど初期ステータスに近い状態で、彼がティルよりも鍛錬を積んだ相手の攻撃を受けきるというのは、そりゃあ厳しい。


「どうしよう。えっと、普通の交代は絶対にダメ。でも、バラム君で相手を倒すのは難しい……」

「ここは、自滅でも狙ってみる?」

「自滅?」


 想定していない提案をされ、クレアはオウム返しした。


「そう。エルドラドは互いに毒を与える効果を持つスキルが多いから、自分の毒でやられてもらおうっていう寸法」

「我慢比べってこと? でも、バラム君は相手の攻撃分も受けちゃうから、先にやられ……あ、回復で粘るの?」

「ダメそうだったら自分のスキルでやられればいいし、悪くない勝負だと思うよ」


 戦うだけ戦って、ダメそうなら自分からやられていくというのは、なんというか新手の詐欺に似た手口に思え、クレアは唸った。とはいえ、それなら十分に勝算がある。

 後ろにいるまだ見ぬアクターも強敵だと思うが、まずは目の前の相手を倒すところからだ。


「ここで、自分に再生をつけちゃうのは?」

「再生の幕の使用回数を捨てるってことだね。十分いい選択だと思うよ」


 バラムが習得している『リジェネコード』は、自身のHPが半分以下の時でないと再生の幕の使用回数を増やすことが出来ない。

 しかし、発動自体は可能だし、自分に再生は確実に付けられる。

 そして、状態異常は1つまでしか掛からず、上書きもされない。これを活かせるのは、まさに今だとクレアは考えた。


 ♢


▼バラムの『リジェネコード』!

▼バラムは「再生」状態になった!


▼バラムは『傷の灯』の効果により、状態異常に掛かっている味方がいることで、自身の精を+1した!


▼ノアールの『プレセプトレガリア』!

▼バラムに「まずまずのダメージ」!


▼ノアールは『プレセプトレガリア』の効果により、「毒」状態になってしまった!

▼ノアールは『アロイヴェイル』により、自身が状態異常になったことで自身の精を+1した!

▼ノアールは『黄金の血脈』により、自身が状態異常の間、技の威力を+20する!


▼ノアールは「毒」状態により、1/8ダメージを受けた!

▼バラムは「再生」状態により、HPを1/8回復した!




『リジェネコード』…100%の確率で自身に「再生」を付与 自身の現在HPが半分以下の時、「再起の幕」を所持していれば、「再起の幕」の使用回数+1

『プレセプトレガリア』…物理でダメージを与え、相手に80%の確率で「毒」を付与し、20%の確率で相手の攻-1する 100%の確率で自身に「毒」を付与する

『傷の灯』…自身を含む状態異常に掛かっている味方1体につき、自身の精+1

『アロイヴェイル』…自身が状態異常になる度、自身の精+1

『黄金の血脈』…自身が状態異常の時、技の威力+20


 ♢


「えっ、そんなスキルまで習得してるんですか!」

「おっと……。これは、分の悪い戦いになりそうですね」

「耐久はリバイヴシングルの真骨頂だよ。さあ、これでもまだ続ける?」


 相手はプレセプトレガリアの効果でお互いを毒状態にし、自分はそこからアロイヴェイルの効果で精神を上げ、さらに黄金の血脈で技の威力も上げて押し切る想定だったようだ。

 だが、ポルクスのおかげで速度が一段階上昇しているバラムの方が先制したため、毒状態になったのはノアールだけという結果になった。


「さて、相手はここで粘るのは嫌なはずだ。相手はアシストだし、アタッカーに引いて突破力を上げてくるかもね」

「バラム君相手になら、交代した後のアクターが攻撃を食らっても大したダメージにならないっていうのも大きい?」

「うん。もちろん、相手がそれさえも読んでここで居座ってくる可能性もあるけどね」


 相手が居座りを選び、もう一度物理攻撃を使ってきたら、間違いなく次に出したアクターはやられてしまうだろう。

 ただ、相手がここで交代してくることを読みきれたら、こちらも安全にバラムを下げることが出来る。


 ♢


自陣:バラム 防/精/速+1 状態異常「再生」

役割:アシスト

アクティブスキル

『命織りの環』@1/2

『聖火の指針』@3/3

『再起の幕』@1/1

『リジェネコード』@0/1

『傷つけること勿れ』@2/2

『希望が再び芽生えますように』@1/1

パッシブスキル

『コンスタントリリース』

『傷の灯』

『生者の責務』@1/1


敵陣:ノアール 防/精+1 状態異常「毒」

役割:アシスト

アクティブスキル

『プレセプトレガリア』@2/3

『???』

パッシブスキル

『アロイヴェイル』

『黄金の血脈』

『???』


▼Tカウント「5」


 ♢


「さあ、ここは大きな分岐点だよ」


 相手は交代してくるのか。それとも居座るのか。


 どちらもあり得るこの状況で、自分の決断が命運を分けることに、クレアはひどく緊張する。

 これが、メイカーが背負うべき責任。それをクレアはまさに今、体験している。


 同時に、自分は何度もこういった局面を乗り越えなくてはならないことを知る。

 これらを乗り越えて、みんなを勝たせたい。その想いを胸に、クレアは覚悟を決めた。


 ♢


▼クレアは「バラム」をシフトゾーンへ戻す!

▼クレアは「ティル」をグランドサークルへ送り出した!


▼ティルはバラムから『アシスト』の効果を受け、自身の速を1段階上昇させた!


▼ティルは『命織りの環』の効果により、「再生」状態になった!


▼シオンは「ノアール」をシフトゾーンへ戻す!

▼シオンは「ジュネ」をグランドサークルへ送り出した!


▼ジュネは『オーバーライド』の効果で、ノアールから精+1を引き継いだ!

▼ジュネはノアールから『アシスト』の効果を受け、自身の速を1段階上昇させた!


 ♢


「ノアール、一度引いてください!」

「バラム君、交代します!」


 互いのメイカーがアクターを交代させる。

 クレアはシオンの動きを見て、交代を合わせられたことに胸を撫でおろした。


 ♢


自陣:ティル 速+1 状態異常「再生」

役割:キラー

アクティブスキル

『ジャマーインパクト』@5/5

『反転の構え』@5/5

『堅固の教え』@5/5

パッシブスキル

『偽記追写』@1/1


敵陣:ジュネ 精/速+1

役割:オーバーライド

アクティブスキル

『???』

パッシブスキル

『???』


▼Tカウント「6」


 ♢


「んげげっ! 君はキラーのヘビ君!」

「よろしく……」

「んぎゃーっ! そのまま居座ってくると思ったのにー!」


 新しく出てきたシカ族の女の子、ジュネはこの対面をものすごく嫌がっている。

 シオンがおたおたしているのも、遠目から見えた。どうやら、あちらはバラムが居座ると思っての交代だったようだ。


「俺はキラーの効果で、相手の防、精、速の上昇を無視できるよ。バラムさんに素早さも上げてもらえたから、先制できる確率は高い……はず」

「うん! ここは強気に攻めていこう!」


 ようやく回ってきたチャンスをものにするため、クレアはティルに攻撃を指示する。


 ♢


▼ティルは『キラー』の効果によって、ジュネの防/精/速の上昇を無視した!

▼さらに、ティルの技は威力も上がっている!


▼ティルの『ジャマーインパクト』!

▼ジュネに「致命的なダメージ」!


▼ジュネは倒れた!


 ♢


「これで……!」

「きゃあああ!!」


 先手を取ったティルの一撃でジュネが大きく吹き飛び、そのまま倒れこんだ。


「わあああ! ティル君かっこいいー!!」

「クレアさん、キャラ変わって……ないか。いつもこんな感じだね。本当にぎりぎりの手ごたえだったけど……うん、これで追いついたよ」


 ジュネの悲鳴とクレアの喜びの悲鳴が重なるカオスな空間にティルは居心地悪そうにしながらも、相手を倒したことを噛みしめている。


「うううっ! ジュネ、ごめんね……! さあ、次ですよ!」


 完全に読みを外したことで、自分がしたことと同じことが返ってきたシオンは悔しがりながらも、動揺は見せない。


 ♢


▼シオンのアクター「シグル」はグランドサークルに躍り出た!


 ♢


「キラーを相手にする場合、能力上昇は厳禁! シグル、頼みますよ!」

「素早さが上がってる人の相手は難しいけど……やってみるよ!」


 再び場に出てきたのはトップバッターのシグルだ。

 技の優先度+1は特殊な処理として、能力上昇としては扱われない。ただし、トップバッターの効果である技の優先度+1は一番最初にしか発動しないので、今回はない。


「トップバッターが持つもう一つの効果が、発動してない?」

「あれ、本当だね。なんでだろ……」


 ティルに言われ、クレアも頭を捻る。

 トップバッターには一度だけ、1つの能力を任意に一段階上場させられる効果があったはずだが、ログには流れていない。


「何か、条件を満たしていないのかも?」


 なんだったっけとクレアが悩んでいると、ふとシフトゾーンから視線を感じた気がした。

 原因を確認するように視線をそちらへ向けると、ポルクスがこっちを睨みつけているのが見えた。おまけに、口パクもしている。


「ティ、ティル君! これ、思い出せなかったらお説教コースだよ!」

「えっ!」


 シフトゾーンにいるアクターは、こちらの会話を一方的に聞いている状態だ。二人がルールを忘れていることも当然、筒抜けである。


「思い出さないと、思い出さないと……! トップバッターのもう一つの効果の発動条件……条件……はっ!」

「思い出した!?」

「能力を上げる効果は、交代した時、みたいな条件じゃなかったかな! 確か、仲間がやられた後に場に出るのは交代に含まれない、だった気がする!」

「確かにそれなら、発動していない理由になるね」


 これでお説教コースは逃れられると、二人はガッツポーズする。なお、ポルクスはおかんむりである。

 クレアはシフトゾーンから向けられている鋭い眼光から目を逸らし、見ないふりをした。


 ♢


自陣:ティル 速+1 状態異常「再生」

役割:キラー

アクティブスキル

『ジャマーインパクト』@4/5

『反転の構え』@5/5

『堅固の教え』@5/5

パッシブスキル

『偽記追写』@1/1


敵陣:シグル

役割:トップバッター

『存在の証』@2/3

『ラピッドプリズム』@3/3

『心変わり』@5/5

『勇敢な疾走』@2/3

『???』

パッシブスキル

『観察者の刃』@1/1

『???』


▼Tカウント「7」


 ♢


「次の一手を考えよう。うん、そうしよう。まず、相手に能力上昇がないから、今のティル君は役割の効果が発動していないで、いいよね」

「うん。威力の上昇がないから、さっきほどのダメージは出ないよ。でも、素早さを上げてもらっているから、相手より速い可能性はあるかも?」


 ティルの素早さはDで、シグルはCだ。

 能力が一段階上昇するというのは、具体的にどれぐらい上がるのかがクレアはまだよく分かっていない。ワンランク差は埋められてしまうほど、上昇効果は高いのだろうか。


「ちなみにだけど、もし抜かれてたら……?」

「俺って、チームメンバーの中で一番体力低いんだよね」


 ハルマサが耐えられなかったものを、ハルマサより体力と防御が低いティルが耐えるという未来は、どう頑張っても起こらないだろう。


「バラム君なら耐えられるから、交代もありかな? アシストの効果で体力も回復するし、防御も一段階上げられるから……」

「交代した後すぐにアシストの効果は発動する、だったよね? それなら、全然ありだと思う」


 ティルで先制出来れば、このまま二人抜きも夢ではない。ただ、先制を取れなかった場合はティルが一撃でやられてしまう可能性が非常に高いので、かなりリスキーな挑戦だ。

 もちろん、成功した時のリターンは大きいが……。


「うぐぐっ、ここで私は冒険できないぃ……!」


 ♢


▼クレアは「ティル」をシフトゾーンへ戻す!

▼クレアは「バラム」をグランドサークルへ送り出した!


▼バラムは『アシスト』の効果により、自身の防を1段階上げた!

▼さらに、バラムは自身のHPを10%回復した!


▼バラムは『傷の灯』の効果により、状態異常に掛かっている味方がいることで、自身の精を+2した!


▼シグルの『存在の証』!

▼バラムに「まずまずのダメージ」!


▼バラムは「再生」状態により、HPを1/8回復した!


 ♢


「かったぁ……! え、お兄さん硬すぎないっ?」

「ダメージとしては、そこそこに行く一歩手前だったと思うよ。再生で戻っちゃうけど」

「なんでこんな完成度の高いリバイヴシングルが、アマチュアにいるんですかー!?」


 向こう側でシオンがわんわん泣きながら叫んでいる。情緒の乱れっぷりに驚きはするものの、はっきり言ってそれを気にしていられるほどの余裕が、今のクレアにはなかった。


 一手読み間違えるだけで、一気に状況が悪くなる。

 そんな選択を永遠と迫られ続けているからか、クレアは何度も額に手を当て、頭にたまった熱を逃がしていた。

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