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異能力バトルスポーツでチームを結成! ~ルールはまったく知りません!~  作者: おかかむすび
一章.始まり

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15/29

15.VS半グレ集団②


「バラム君、お願いします!」


 クレアが次に選んだのはバラムだ。アシストの効果は防御力を選択する。


 ♢


▼クレアのアクター「バラム」はグランドサークルに躍り出た!


▼バラムは『アシスト』の効果により、自身の防を1段階上げた!


▼バラムは『コンスタトリリース』の効果により、自身の技による回復量を高めている!

▼バラムは『傷の灯』の効果により、状態異常に掛かった味方の数だけ、自身の精を上昇させていく!


 ♢


「わっははは! キラー相手にアシストを出すのか? リーンの言うとおり、こんなメイカーのチームに入ってるアクターの方が可哀そうだぜ!」


 ゲラゲラと腹を抱え、今にも笑い転げそうなネズに、クレアはまたしてもムッとする。

 だが、今回に限っては好きなだけ笑っていればいいという精神だ。決して、クレアも考えなしにバラムを選択したわけじゃない。


「バラム君は攻撃面が弱いけど、魔法技を持ってるでしょ? ポルクス君が与えたダメージ量からして、多分クマ族は精神力が低いと見たの! それなら、バラム君の魔法力でも十分残りを削れるかなって」

「ちょっとポルクス。ちゃんとクレアに、次はティルを出せって言い切ってよね」

「え、私間違ってた!?」


 クレアなりに考えての行動だったが、どうやら何かを間違えているらしい。バラムの辛らつな言葉が、インカム越しに流れてくる。


「まず、クレアが言ってる魔法技だけど。あれは条件が満たせてないから、使っても不発で終わるよ?」

「条件――あっ!」


 クレアが想定しているのは『聖火の指針』というスキルだ。

 問題となっているのは、状態異常に掛かっている味方がいないと、このスキルは使っても意味がないのである。


「どどど、どうしよう! え、じゃあ、バラム君じゃなかった……?」

「あのクマ……ネズだっけ。あれは見た感じ素早さ上げてないだろうし、ティルなら先手で倒せてたんじゃない? ちなみに、僕も素早さは一切上げてないから。初期値はクマ族と同じね」

「ごめんなさいーっ!」


 完全なるやらかしに、クレアは大慌てである。


 ♢


自陣:バラム 防+1

役割:アシスト

アクティブスキル

『命織りの環』@2/2

『聖火の指針』@3/3

『再起の幕』@1/1

『リジェネコード』@1/1

『傷つけること勿れ』@2/2

『希望が再び芽生えますように』@1/1

パッシブスキル

『コンスタントリリース』

『傷の灯』

『生者の責務』@1/1


敵陣:ネズ 攻/魔+1

役割:???

アクティブスキル

『メモラルリンク』@2/3

『???』

パッシブスキル

『???』


▼Tカウント「4」


 ♢


「やっちゃったものは仕方ない。次につなげればいいよ」

「はいぃ……。でもこのままじゃ、バラム君がボコボコに……」

「ちょっと手順が増えるだけで、やることは大差ないって。とりあえず、相手の『メモラルリンク』が見えてる以上、ここでティルに交代はなし。ティルじゃあの威力は受けられないし、何かが起きて耐えたとしても、バウンス技だからまた僕が引っ張り出されるだけ」

「ううー、なんて嫌な技なんだ……」


 ポルクスが一撃で落ちた威力だったことも考えれば、ティルが受けられるとはとても考えられない。ここは、バラムで頑張るしかない。


「ま、ここは素直に攻撃でいいんじゃない? 他の技は有効な場面じゃないし。……魔法技は使わないでよ」

「流石にこの流れでそれはしないよ!」


 今回のことで、またしてもバラムからの信用が落ちた気がする。クレアは、これ以上の失態を重ねたら一体どうなってしまうのかと、恐ろしい想像をしてしまった。

 ……が、既に怒られているため、恐ろしい事実はもう起こっているのであった。


 とにかく、バラムの言うとおり交代は危険である。ここは『命織りの環』を選択だ。


 ♢


▼ネズは『キラー』の効果によって、バラムの防御力上昇を無視した!

▼さらに、ネズの技は威力も上がっている!


▼バラムの『命織りの環』!

▼ネズに「まずまずのダメージ」!

▼『命織りの環』の効果により、次に場に出る味方は「再生」になる!


▼ネズの『メモラルリンク』!

▼バラムに「そこそこのダメージ」!

▼ネズは『メモラルリンク』の効果により、魔が1段階上昇した!


▼バラムは『メモラルリンク』によって、強制的にシフトゾーンへ戻される!

▼クレアのアクター「ティル」は強制交代によって、無理やりグランドサークルに連れ出された!


▼ティルは『命織りの環』の効果により、「再生」状態になった!




『命織りの環』…100%の確率で次に場に出る味方に「再生」を付与する この効果は自身が瀕死になっても次の味方が場に出るまで保持される


 ♢


「やっぱバウンス――」


 何かを言い切る前に、バラムがシフトゾーンへ吹っ飛ばされていく。そして、ティルが無理やりグランドサークルに立たされた。


「なんで?」

「どういうこと?」


 バラムの話を聞いていた二人は、揃って頭にはてなを浮かべる。

 バウンス技には、優先度-3という効果が必ず付与されている。これでは、ティルに素早さで勝つことは出来ない。

 あるいは、ここまで素早さを誤魔化してきたのは、ここで奇襲を仕掛けてくる予定なのかもしれない。優先度で誤魔化し、実はここでティルより早い可能性が――。


 ♢


自陣:ティル 状態異常「再生」

役割:キラー

アクティブスキル

『ジャマーインパクト』@5/5

『反転の構え』@5/5

『堅固の教え』@5/5

パッシブスキル

『なし』


敵陣:ネズ 魔+2 攻+1

役割:キラー

アクティブスキル

『メモラルリンク』@1/3

『???』

パッシブスキル

『???』


▼Tカウント「5」


 ♢


▼ティルの『ジャマーインパクト』!

▼ネズに「大きなダメージ」!


▼ネズは倒れた!


 ♢


「倒せちゃった……」

「普通に倒れたんだけど……」


 相手に何か奇策があるとしても、クレアは攻撃するしかなかった。

 だからそのように指示を出したのだが、これがあっさりと通るのだから、ますます前の行動が分からなくなった。


「へ、へへ……言ったろ。キラーの俺は、エースを倒した時点で、仕事は終わってん、だよ……」


 ネズはそう言い残し、シフトゾーンへ戻っていった。


 ♢


▼即席チームのアクター「リーン」はグランドサークルに躍り出た!


▼リーンは『アシスト』の効果により、自身の精を1段階上げた!

▼さらに、リーンは自身のHPを10%回復した!


▼リーンは『傷の灯』の効果により、状態異常に掛かった味方の数だけ、自身の精を上昇させていく!


 ♢


「アシストは、キラーと相性が良くないんじゃ……」


 キラーであるティルの前では、せっかく上げた精神力も意味がない。それどころか、能力が上昇したことでキラーの条件が満たされてしまう。言ってしまえば、一番相性の悪い組み合わせだ。

 なにより、クレアが同じことをさっきやったばかりである。


「それぐらい、あんたと違ってわかってるっつーの。あたしの仕事はね、やられることなの」

「やられることが……そうか。クレアさん、相手は正念場を狙ってるんだよ」

「ちょっとは頭回るじゃん、なよなよ男」

「なよなよ……」

「大体、3vs3なんてのはエースが全抜きするのが通例なの。むしろ、あんたたちはここであたしを倒すことで、アシストによるバフがさらに乗ったエースとやり合わなきゃいけないわけ! さあ! そこのなよなよした男と、リバイヴ持ちのヒツジ君が、グレイズに勝てるのかな? アハハ!」


 こちらのエースであるポルクスは、すでに瀕死だ。いくらエースに相性のいいキラーが残っているとはいえ、アシストによる能力上昇まで乗ったグレイズを止めることは、果たしてできるのだろうか。


「相手はこう言ってるけど、彼女も倒さないと勝利はないんだ。出来ることからやって行こう」

「そうだね。まずは目の前の相手を、ちゃんと倒していこう!」


 こういった時、ネズが使っていたようなバウンス技があれば、また違うのかもしれない。

 そんなことを頭の片隅で思い描きながら、クレアはティルに指示を出す。


 ♢


自陣:ティル 状態異常「再生」

役割:キラー

アクティブスキル

『ジャマーインパクト』@4/5

『反転の構え』@5/5

『堅固の教え』@5/5

パッシブスキル

『なし』


敵陣:リーン 精+1

役割:アシスト

アクティブスキル

『留まるは我』@1/2

『フェードショット』@2/3

『???』

パッシブスキル

『傷の灯』

『???』


▼Tカウント「6」


 ♢


▼ティルの『ジャマーインパクト』!

▼リーンに「特大のダメージ」!


▼リーンは倒れた!

▼即席チームは残り1体になったことで、『正念場』に突入!


▼即席チームのアクター「グレイズ」はグランドサークルに躍り出た!


▼グレイズはリーンから『アシスト』の効果を受け、自身の攻を1段階上昇させた!

▼『エース』であるグレイズは、ここが正念場であると奮起し、全能力+1!

▼さらに、自身の攻を1段階上昇させた!


▼グレイズは『等価幻想』の効果により、『リフレクトシェルフ』で習得した技の効果を高めている!




『等価幻想』…技「リフレクトシェルフ」で習得した技の追加効果発生率+10% 技の威力+10する


 ♢


「攻撃力が3段階上昇!? こんなの、誰が受けてもやられちゃうよ!」

「俺、絶対耐えられないんだけど!」


 エースによる上昇に加え、アシストまで入ったグレイズの能力値がとんでもないことになっている。

 クレアとティルは、インカムを通して絶叫していた。


「グハハハハ! 見たか! これが『エース』の力! ここまでの流れなんてのはなぁ、ただのままごとなんだよ!」


 圧倒的な能力上昇を得たグレイズが、高笑いを上げている。


 初めて練習試合をした、イレーラも同じことを言っていた。役割のないグランドアクトなど、ただのおままごとだ、と。

 あの時は、2vs2だって立派なグランドアクトだと思っていたが、今なら彼女の言葉も理解できる。


 役割が――エースがいるといないでは、あまりにも別物すぎる。


 ♢


自陣:ティル 状態異常「再生」

役割:キラー

アクティブスキル

『ジャマーインパクト』@3/5

『反転の構え』@5/5

『堅固の教え』@5/5

パッシブスキル

『なし』


敵陣:グレイズ 攻+3 防/魔/精/速+1

役割:エース

アクティブスキル

『???』

パッシブスキル

『等価幻想』

『???』


▼Tカウント「7」

▼即席チーム「正念場」


 ♢


「た……戦える?」

「どう、だろ。素早さで勝ててたら、一矢報いれると思う、けど……」

「多分、一撃では落とせないよね?」


 攻撃力を3段階も上昇させているところから、竜人族であるグレイズも、物理技が得意なパワー系とみていいはずだ。

 問題は、体力と素早さが高いのか、それとも低いのか、というところなのだが……。


「嫌な状況だけど、何もせず交代するわけにはいかないから……頑張ってみるよ」

「こんな怪物と戦わせることになっちゃって、本当にごめん!」


 ここはもう、ティルの素早さがグレイズを上回っていることを信じるしかない。

 クレアがティルに指示を出すため、メイカーパネルを触れようとした、その時――。


「お前ら! 何してやがる!」


 誰かの怒鳴り声が聞こえてきたことで、クレアは肩を跳ね上げた。すんでのところで誤動作はせずに済んだが、こんなタイミングに一体誰だと、クレアはちょっと怒りながら声のする方を見た。


 声の主は、公園の入り口からまっすぐこちらへ向かってきており、大きな灰色の尻尾が左右に揺らしていた。

 尖った耳に、鋭い目つき。さらには口から見え隠れする八重歯が、とても強そうな印象を与えてくる。

 尻尾と同じ髪色の中に混じる、一本の銀色がメッシュのように入っているのが特徴的な、強面系オオカミ族のおじさんが、クレアを驚かせた犯人だった。


「チッ、ローガンか。今は大口叩いたクソガキ潰しに忙しいんだよ。外野は引っ込んでろ!」

「グレイズ! ったく……この悪ガキどもが」


 ローガンは何か言いたげだったが、その口をつぐんだ。

 続けてもいいのか分からず、クレアがそわそわしていると、ローガンとばっちり目が合った。


「おう、悪かったな、嬢ちゃん。試合の邪魔はしねえよ」


 どうやら試合中ということもあり、静観してくれるらしい。無理やり止めさせられる、といったことはなさそうだ。

 クレアはローガンの存在に気圧されつつも、小さく首を動かして応える。


 さて、乱入騒ぎはあったものの、大きな問題はない。アクシィが中止するようなこともないので、試合は続行だ。

 クレアは改めて、ティルへ指示を出した。


 ♢


▼ティルは『キラー』の効果によって、グレイズの防/精/速の上昇を無視した!

▼さらに、ティルの技は威力も上がっている!


▼グレイズの『ストライク』!

▼ティルに「致命的なダメージ」!


▼ティルは倒れた!

▼クレアのチームは残り1体になったことで、『正念場』に突入!


▼クレアのアクター「バラム」はグランドサークルに躍り出た!


▼バラムは『アシスト』の効果により、自身の防を1段階上げた!


▼バラムは『コンスタトリリース』の効果により、自身の技による回復量を高めている!

▼バラムは『傷の灯』の効果により、状態異常に掛かった味方の数だけ、自身の精を上昇させていく!




『ストライク』…物理でダメージを与える


 ♢


「うわああああっ!」

「ティルくーーん!」


 耐えきれないほどの一撃を食らって吹っ飛んだティルが、そのままシフトゾーンへワープさせられる。そして、最後の1体となったバラムがグランドサークルに立った。

 いくらキラーが相手の速度上昇を無視できても、元々の素早さが負けていたら先制は取れない。つまり、グレイズはティルより速かったのだ。


「来たなあ、ヒツジのクソガキ! メエメエ鳴いて、命乞いする準備は出来てるかあ?」

「そんなことするわけないでしょ。すでに勝負は見えてるんだから」

「この状況でも、まだ減らず口を叩くか。その根性だけは大したもんだよ」


 完全に怒り狂っているグレイズに対し、バラムはどこ吹く風だ。

 明らかに状況はこちらの方が不利だというのに、あの胆力は一体どこから来るのか。クレアにも、全く分からないのであった。

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