第1話 「フェミニストとして、人間として」
この物語の主人公━━田所渚 康裕は、俗に言うフェミニストだ。
そんな彼はついさっき、誰かに殺された。彼は悲惨な最期を迎えた。彼の目標はついえた……かに思えた。
「むっ?ここは?」
と、田所渚が辺りを見回すと1人少女が居た。明らかな美形に白き肌、西洋人?どこの国のものだろうと思った。
「あっ、起きましたか」
少女がそう問いかけると田所渚が今いる状況を振り返る。そして立ち上がり辺りを散策する。
「あのー?」
という少女の言葉をものともせず散策を続ける。
彼は警戒していた。また自分が撃たれるかもしれないからだ。
辺りを散策してからここは外であり、誰にも侵されてないとても美しい自然であることに気づいた。誰も木や土を荒らした形跡はなく日本ではとても珍しい地域にいるのだと感じた。とても誇らしい。
少女は心配そうに田所渚を見る。
「もしかしてここら辺の人じゃないのかな?」
という少女の言葉に田所渚は引っかかった。ここは日本のはず、田所渚はザ・日本人のような服装と顔立ちであるはず。そう思い言葉を返した。
「ここはどこなんですか?」
まずは敬語。人間として初歩的なコミュニケーション人との信頼を作るにはコミュニケーションは大事なのだ。そして今の立ち位置を正確に把握する必要がある。そしてこの少女が田所渚の敵であるかを。
もちろんフェミニスト活動としての意味だ。
「ここはヴェルディア王国ですよ?」
??、田所渚の中の世界観が崩壊した。日本ではないと、日本にこのような自然がある、と誇らしげに思っていた。ショックに呑まれそうになるが一先ず耐える。そして次の質問に
「あなたの名前を━━
いや、まずは私から、」
危ない。信頼度を築く上にまずは自分の情報を崩す必要がある。相手任せで信頼度を築けば崩壊するのは容易い。ここは日本ではないということが分かった。そしてヴェルディア。私の知識的にはそのような国は存在しない。そして私が死んだはずというのが本当だとして、そこから導かれるのは━━━━━
「ナギサ・タドコロです。ヴェルディア王国出身ではないのですが、どこ生まれかは正確にはわかりません。」
信じたくない、そのものの存在を認めるのはどうなのか、「異世界転生」を。田所渚は異世界転生を正直好いてはいない。世界にとって都合の良いことしかないのも、実際の複雑な世界を引用しきれてないのもいけ好かない。所詮創作なのだから……と、思っていたらついに田所渚の所まで…。
「ナギサ…さんですね、私はライラ・シャミネです。それと質問なんですが人間ですか?」
現実ならとてつもなく失礼な質問に値するが、もうこの世界を理解した田所渚には大丈夫だ。恐らくライラ・シャミネは、人間以外の生物、白のグラデーションが毛先にかかった黒髪に、田所渚の耳より少し伸びている耳。民族衣装のような独特な明るい色に黒い衣装を羽織っている。
ん?人間じゃないか?いや、恐らく人間に最も近い生物エルフ的なやつだろう。聞いたことがある。
エルフだろうがなんだろうが平等に接されるべき、者だろうが、エルフは差別されやすい生き物であることを読んでいて分かった。私は許せない。そういう物を
「私は人間です。あなたはエルフみたいな種族の方ですか?」
正直日本の憲法14条がこの世界で通ずるとは思えないが、それに似た法律はあるだろう。
じゃなければ、田所渚は耐えきれないだろう。
「まぁ、半分正解ですかね。ただのハーフエルフって訳じゃあないんですが、私は魔王族とエルフ族のハーフというわけで、つまり「魔王」なんですよ」
魔王?この世界は魔王が自然発生するのか?
てんこ盛りすぎて話が追いつかない。魔王が沢山いるという話で進めていくライラも魔王なのか。
「その崇高な?魔王様がこちらで何をしていらっしゃるのですか?」
「いえ!、そんなに畏まらないでください!魔王族とは言っても人間から見たら魔王とは程遠いですよ。」
魔王なのに魔王ではない?ではここで何をしているのかますます興味が湧いてくる。普通の魔王ならば侵略がなんやかんやみたいな感じであろうが、そうでなければ理由があるはずだ
「私はここで、現魔王を倒すための手がかりを探しています。」
全てが妙だ。自分の親に近い存在を消すと言うのか?それは許さないどんな理由があっても非人道的な行動は許さない。
「なぜだ、なぜ殺す必要があるんだ?一時の感情に身を任せているのではないのか?」
これは人間として普通のこと。特別な理由などない。ある方が異常だ。そして必要な話をしなければフェミニストとして。
「実はですね…」
と少女が話し出す。その話を聞いて田所渚は怒りの矛先を変えた。嫌悪感も抱きながら
第2話「フェミニストが作りたい世界」