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バッド★バニー・バトラーズ  作者: 兎神 ラパン
4/5

暗躍するバニー達

「さて、少し話をしようか?」


Dr.ラビットは、壊れたビルの縁に腰をかけながら、煙草をくわえる。


戦いの余韻が残る街の空気。

黒い霧は晴れ、アビス・クリーチャーの残骸は消えていた。


スカーレットは拳を握りながら、まだ荒い息を整える。


「……それにしても、まったく……“ウサギ”がこんなに暴れ回るとはな」


Dr.ラビットの呟きに、スカーレットが眉をひそめた。


「チッ、ウサギってのは“跳ぶ”もんだろ? ま、ぶっ飛ばすのは得意だけどな。」


彼女は肩を回しながら、未だに自分の体に残る戦闘の余韻を感じる。

さっきまでの自分とはまるで違う。

拳を振るうたび、全身に漲るエネルギー——


(……何だ、この感覚。)


ベリルも、指先に漂う魔力の名残を見つめながら、微笑を浮かべた。


「ふふっ、確かに……悪くない気分だわ。」


ノワールは冷静にフードを被り直しながら、Dr.ラビットを一瞥する。


「この力、どういう仕組みなの?」


「そうだよな、”バニー”って何だ?」


スカーレットは、自分の頭の上にピンッと立ったウサ耳を引っ張る。


Dr.ラビットは、その問いに「待ってました」と言わんばかりに指を鳴らし、空中にホログラムを展開する。


そこには、3人の戦闘データが映し出されていた。


「お前たちが今使っているのは、“ラビットギア”——異世界の”バグ”を利用した戦闘強化装置だ」


「……バグ?」


スカーレットが眉をひそめる。


「簡単に言えば、この街と異世界の”境界”は、徐々に壊れつつある。そして、お前たちの力は、その”バグ”を利用して成り立っている」


Dr.ラビットは煙を吐きながら、静かに言った。


「——つまり、“お前たち自身も異世界の一部”ってことだ。そして、お前たちは”バグ”を操る戦士……つまり、“バニー・バトラーズ”ってわけだ」


「…………」


スカーレットとベリルが、何とも言えない表情でDr.ラビットを見つめる。


「……つまり?」


スカーレットが眉をひそめる。


「いや、だから……お前たちは異世界との境界を越えた存在になったんだ。通常、この世界の人間は”バグ”を認識できない。しかし、お前たちは”バグ”を取り込み、それを力に変換できる。つまり、その代償としてお前たちは”普通の人間”じゃ——」


「ちょっと待った」


スカーレットが手を挙げて静止する。


「.......ややこしくねぇか?」


「要するに、バニー=戦士ってことじゃない?」


ベリルが小首をかしげる。


「ま、まぁ、簡単に言えばそうなるな……」


「ふぅん、バニーって言うから“可愛いウサギちゃん”のことかと思ったけど、そうじゃなくて“戦士”って意味なのね?」


「いや、バニーはウサギだろ?」


スカーレットがすかさず反論する。


「……バニーは戦士であり、ウサギでもある」


Dr.ラビットが苦々しく答える。


「……やっぱりややこしい」


スカーレットがこめかみを押さえながらため息をつく。


そんな様子を見ていたノワールもため息を吐いた。


「でも、ウサギって可愛いじゃない?」


ベリルがくすくすと笑う。


「ふん、戦場で”可愛い”とか言ってる場合かよ……」


スカーレットが呆れたように腕を組む。


Dr.ラビットは煙草をくわえながら、ホログラムの画面を消した。


「……まぁいい。今説明したところで、お前たちには理解しきれんだろうし、どうせ途中で面倒くさくなって“考えるのをやめた”って顔してるしな」


「ちょっと! 私たちのこと、そんなバカみたいな——」


「——また今度、話してやるよ」


Dr.ラビットはそれ以上の説明を放棄し、肩をすくめた。


(……まあ、最初から今全部話すつもりもなかったしな。)


「お前たちは、今はただ“戦う力を手に入れた”とだけ思っておけばいい。それだけわかってりゃ、問題ねぇよ」


スカーレットは、まだ納得しきれない顔をしながらも、ウサ耳を指で弾く。


「……まぁ、要は戦えってことだろ? それくらいなら理解できるぜ」


「ええ、つまり、“可愛いウサギちゃん”がこの世界を守るってことね?」


ベリルが軽やかに微笑む。


Dr.ラビットは彼女の言葉にわずかに眉をひそめたが、何も言わなかった。


(……そう思わせとくのが、一番都合がいい。)


「よし、話はここまでだ。これからどうするか、決めるのはお前たちだ。」



スカーレットは、黙って拳を握りしめる。


「私たちのこと、“バッド★バニー・バトラーズ”って呼んでたわよね?」


ベリルが楽しげに微笑む。


「ふん、バニーの名前なんて、正直どうでもいいわ。でも……“戦う理由”にはなる」


ノワールがフードを少し深くかぶる。


「……ったく、こんなフザけた名前、気に入らねぇけど——」


スカーレットは拳を握り、不敵に笑った。


「まぁいいか。“バッド★バニー”、やってやるよ!」


彼女たちは、“暗躍するバニー”。

ここから彼女たちの物語が、本格的に動き始める——。

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