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バッド★バニー・バトラーズ  作者: 兎神 ラパン
1/5

日常、崩壊


──「可愛いだけじゃ、生き残れない。」


ウサギが可愛いって、誰が決めた?

ウサ耳、ぴょんぴょん、ふわふわ……そんなイメージ、ぶっ壊してやる。


だってこのウサギたちは、

ド派手に戦って、

悪党をブッ飛ばして、

異世界の闇を暴いていく!


この世界を救うのは、選ばれし戦士たち。

その名も——


『バッド★バニー・バトラーズ』


耳を立てろ。戦場を駆けるウサギたちの物語が、今始まる。



——この街には、“異常”が普通に紛れ込んでいる。


ラビリントシティは、カオスな街だった。

ネオンが乱反射する高層ビル群。古びた商店街に鳴り響くスピーカーの音。

最先端のテクノロジーと、場末のスラムが隣り合わせになっている、“混沌の街”。


だが、この夜はいつもと違っていた。


「あーー、クソ退屈!!」


繁華街の一角、ハンバーガー片手にベンチに座る少女がひとり。

真紅のポニーテールを揺らしながら、スカーレット・ブリッツは舌打ちする。


「この街には、“喧嘩”の一つもロクに転がってねぇのかよ……」


彼女の指先には、薄い火花がちらついている。

退屈すぎる日常に、体の奥が疼いて仕方ない。


そこへ、数人の男たちが路地裏から転がり出てきた。

ゴロツキたちの顔には、恐怖の色が浮かんでいる。


「ひ、ひぃ……! なんなんだ、アイツは……!」


スカーレットは拳を握りしめ、目の前のゴロツキをもしや獲物かと薄ら笑いを浮かべた。


その時、宙に柔らかい笑い声が響いた。


「あら、逃げ足は早いのね?」


ベリル・シュガー


月明かりの下、ふわりと舞うように現れたのは、銀髪の髪、涼しげな瞳。

一見すると優雅な少女だが、その瞳には冷たい輝きが宿っていた。


ベリルは指を軽く弾き、ゴロツキたちの足元に魔法陣を展開する。

「ねぇ、可哀想だから教えてあげる。“女の子”だからって、油断しちゃダメよ?」


すると、地面から淡いピンク色の鎖が湧き出し、ゴロツキたちの動きを封じる。


「さぁ、どうする?貴方たちが”降参”するなら、今のうちよ?」


彼女は口元に笑みを浮かべながら、優雅に片手をかざす。

「うふふ、そんなに睨まなくてもいいんじゃない?」


スカーレットがニヤリと笑った。


「おーおー、お嬢様がまたイキってんなぁ?」


「あら、ごきげんようスカーレット。あなたこそ、また野蛮なことを考えていたんじゃない?」


「野蛮じゃねぇよ、適度な運動ってやつだ。」


「ふぅん......ま、どうでもいいけど?」


ベリルが微笑む。



——そんな二人のやり取りを、遠くのビルの影からじっと見つめる少女がいた。


黒ずくめのパーカーに、深くフードをかぶったノワール・フェンリルは、興味なさげに二人を見下ろしていた。


「......くだらない。」


彼女は静かに息を吐き、鉄柵に体を預ける。


「……やっぱり、この街はバカばっかり。」


彼女はため息をつき、視線を路地裏へ戻す。


ふと、”違和感“がよぎった。


ビルの影が——”揺らいでいる“。


「……“ソレ”が、来る。」


ビルの間に、黒い霧が広がる。

まるで最初からそこにあったかのように、黒い霧が扉の型となって浮かび上がってくる。


今、“異世界の扉” が開いた。



「——アビス・クリーチャーズ、確認。」


無機質な声が響いた瞬間、世界が”崩壊”し始める——。



「……な、なんだこれ……?」


スカーレットが見たのは、世界の”異常”だった。

目の前に広がるのは、黒く染まった空間。

そこから現れたのは——“獣”だった。


アビス・クリーチャーズ。

異世界の境界が崩れ、ラビリントシティへ侵食してくる”異形”の存在。

影のような体躯、無数の目、ねじれた牙。

その姿は”この世界の理”を無視した、歪なモンスター。


「は……? 何これ、映画の撮影?」


「違うわ、スカーレット。」


ベリルの表情が、初めて”強張る”。

「……“あれ”は、本物よ。」


次の瞬間、獣が”跳んだ”。

その影が、スカーレットたちを襲う。


「ッ!!」


誰かが叫ぶより早く、

世界が”爆ぜた”。


ドゴォォォン!!!


赤い閃光が、夜を切り裂く。


煙の中から現れたのは——スカーレットだった。

しかし、さっきまでと違う。“何か”が変わっている。


彼女の両耳には、“ウサギの耳” が生えていた。

手には、燃え上がる”異形の拳”。


「……は?」


混乱する彼女の前に、

ラビットの耳を持つ白衣の男が現れた。


Dr.ラビット——“謎の科学者”。


「やれやれ……時間がないんだ。」


彼はスカーレットの肩に手を置き、こう言った。


「君たちは、今から”バニー・バトラーズ”だ。」




「は? バニー? 何それフザけてんの?」


スカーレットが眉をひそめるが、Dr.ラビットは笑って言う。


「この世界を救うために、戦え。“ウサギの騎士”として。」


その言葉とともに、彼女の体が”変化”する。

手の甲に刻まれたのは、“ラビットエンブレム”。


次の瞬間、“力”が溢れ出す——!



スカーレット・ブリッツ


炎のように揺らめく赤いオーラがスカーレットの体を包み込む。唇の端を不敵に歪め、ギラついた瞳が闘志を燃やしていた。

「——いいぜ、全部、燃やし尽くしてやる!」



ベリル・シュガー


薄紅色の光が宙に舞い、ベリルの周囲を甘美な香りが満たす。指先を軽く弾くと、魔法陣が花弁のように開いた。唇に微笑を浮かべ、艶やかに囁く。

「さぁ、私たちの“お遊び”を始めましょう?」



ノワール・フェンリル


黒いエネルギーが体を包み、ノワール・フェンリルは楽しげに口の端を上げた。

「ふぅん....なるほど。こういうの、“血が騒ぐ”って言うんだっけ?」





——こうして、

“最悪のバニーたち”の物語が幕を開ける。


「異世界にウサギを放つな?」

「——もう、遅ぇよ。」





少女たちは、まだ知らない。

この戦いが”世界の真実”へと続いていることを。


だが、彼女たちは迷わない。

“このクソみたいな世界”で、跳ぶしかないのだから。

ーー

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