Act8 国王
眠いね〜
アリシアは王城へと戻っていた。
時刻はもう夜の21:00を過ぎている
20:00以降は個人であっても鍛錬は禁止
なのでこの時間帯は各々は食事や自室で休息を取っている
アリシアがとある場所まで足を進めていると──
「おかえりなさい、アリシア」
アリシアに話しかけたのはヴィクシー・Y・アグロニア
王下直属部隊【四聖】の隊長だ
「ただいま戻りました、アグロニア様」
眼鏡をかけた優しそうな女性は楽そうな姿で歩いていた
「お風呂の後ですか?」
「ええ、今日はあの後何も無かったからね」
「アリシアは王室に行くのかしら?」
「はい、少々確認したいことができまして」
「疲れてないの?顔が汚れているわよ」
「お気遣いありがとうございます、ただアグロニア様の方が湯冷めしてしまいます」
「あらそう?じゃあまた明日ね」
男性なら誰もが振り向く容姿の彼女は
ヒラヒラと手を仰ぐとそのまま部屋へと去っていく
(……何を食べたらあそこまで……)
アリシアは胸をぺたんと抑える
「………………まだ18だ」
「アリシア!」
次に話しかけてきたのは上背の大きな男性
何かをゴリゴリと食べながら歩いている
名前はデルガリヒ・アフルレイド
「こんばんは、アフルレイド様……食べ歩きは良くないですよ」
「あぁ悪い悪い、部屋まで我慢出来なくてな、ホラ1個……2個やるよ」
アリシアの手のひらにポンと赤色の果実が置かれる
「ヨノク(り〇ご)ですか……これはまた大きな」
「お前が1人で行った後に俺も城下行ったんだよねー」
「そこで売ってたのを買い占めってワケ」
「青髪のキレーな子がなー」
アリシアの動きがピタリ止まる
青髪の綺麗な子、思い当たる節がひとり
「ん?知り合いだったりするのか?」
「……いえ、生憎と青髪の知り合いは居ません」
「申し訳ありません、この後王室に予定があって」
「ん、じゃ、すぐ終わらせて寝るんだぞー」
すぐに寝ろ、という子供用なことを言われてしまう
ただ今日は色々とあって疲れてるのは確かだ
─────────────
王城の1番上──とかではなく
ひっそりとある一室、ドアの前にはひとり兵士が立つ
「アリシア・ピァーニだ、入れてもらえるか」
アリシアは懐から白色の腕章を取り出す
王下直属部隊の隊長である人間しかつけられないものだ
「確認致しますね」
兵士は腕章に手をかざすと魔術を詠唱する
すると腕章は赤色に代わり名前が浮き上がる
《アリシア・ピァーニ》と綴られた文字が現れる
「ありがとうございます、それではどうぞ」
扉が開く、その中には
「おかえりなさい、お疲れ様ですアリシア」
アヴェルニア王国の現国王であり
建国以来、一度も変わらない国王
国王は森人と呼ばれる種族であった
「この時間帯に来るのは珍しいですね、何がありましたか?」
見るだけで「美しい」とわかる美貌と
目を覆い隠す赤色の布
彼女の名前はサヴァン・アヴェルニア
大英雄の1人と呼ばれるモノである
「結論から申し上げますと、予言の英雄が現れたかもしれません」
「……!」
「それは真ですか?」
「はい、本日の出撃の際に、私が知らないアヴェルニア
の人間がおりました」
アリシアは王城及び城下町、登録されている村の範囲なら全ての人間の顔を覚えている、ただの郊外から来た人間かもしれないが、あの特殊な治癒力と右腕の光から
「見たこともない力を持っていました……
あのような大型魔獣を一撃で倒すなどと……」
「わかりました、それでは今すぐに保護を──」
「いえ、それよりも」
「私が興味を持ってしまったのと──」
「私の妹の家にいるはずなので、保護はいりません」
「まぁ……それは大丈夫なのですか?」
「心配には及びません、それよりも確実な方法もあります」
「こちらを」
アリシアは1枚の紙を取り出す
記載されているのは──
「こちらを……その者に?」
「はい、あとは国印を押していただければ」
「わかりました、すぐに終わらせましょう」
その紙の内容は「王立試験特別招待状」
……王立機関の養成所に入るための試験を「費用免除」
で入ることの出来るもの
「間違いなく2人は来ます」
「そこで人類にとっての、脅威なのか、導なのかを見定めます」