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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第三章 「中級警戒区域合宿」
76/81

Act73 森の聖女

スティアノア……?

響音は目が覚めると知らない部屋にいた

殺風景な白色で構成された部屋

清潔感のある布団と薬品のような匂い


暫くすると体に違和感があることが気づく

四肢の部分に針のような物が刺さっている

けれど痛く無く、むしろ身体はとても好調であった


針に触れると「ジジッ」という電気が点いた様な音がした


パタパタとどこからが音が聞こえ

奥から女性がやってきた


「あ、起きました?」


ポニーテールの少し気だるそうな女性が

ひょっこりと顔を出してきた

女性は手首の脈をさわり、目に少しの光を当てる


「べーして」


響音は舌を出すと口内を照らされる


「んー、大丈夫そうだね、帰って大丈夫だよ」


「え、ここ……」


「ここ?治癒魔術師が運営してる施設だよ」

「つっても5人しかいないからねー、治ったんなら、ほら帰った帰った」


ベットから下ろされ施設の玄関までぐいぐい押される


「もう、来るんじゃないよー」


バタン!


「……………………どこだろ、ここ」


────────────────────


場所が全く分からないのでふらふらと響音は彷徨う

──響音がいる場所はアヴェルニア王都の裏側の町だ

つまり王都を目指せば自然と養成所の方へつくのだが


土地感のない響音は反対方向の森の中へ進んでしまった


しばらく歩いたあと──


ぽつん、と 教会のような建物がでてきた


「…………違う道だったかな……」


気づいた響音は戻ろうと元いた道に戻ろうとした

その時──


「誰かいるのですか?」


教会の中から1人の少女が現れる

真っ白な髪、真っ白な肌、真っ白な服を着た──

まさに「聖女」を具現化したような人だった


「あ……えっと」


「……もしかして、迷ってしまったのですか?」


「は、はい、そうです」


「……もし良かったら1晩お泊まり下さい、この森は魔獣が出ます、今日はもう預かり子もいないので……」


「いや……でも」


「貴方は「ケガレ」が一切見えません……貴方のような人は初めてです、どうぞ遠慮せず」


少女は教会の中へと入っていく

時刻は夕暮れを過ごしていたが、教会の入口だけは光が指しているように見えた


────────────────────


夕飯に軽い食事を出されたあと、寝室へと移動した

ただ、慣れない環境かやはり眠れなく、少し外へと出る

光が一切ない森の中、空で遊ぶ星達が見える


「眠れないのですか?」


教会の少女に話しかけられ振り向く、理由は不明だが

突然話しかけられても不快感がなかった


「そういえば名乗っていませんでしたね」

「私、この教会のシスター ルノン・スティアノアと言いい


「……クロード・ヒビネです」


「素敵なお名前ですね……おや?ヒビネ様……?」


ルノンと名乗る少女は自分の事を知っているようだった


「……あ、いえ人違いかもしれません、ごめんなさい」


少女は空を見上げる、風に揺られて1枚の絵画のようだ


「空は綺麗ですか?」


「……星は、見えるけど……」


少女と会話してから響音は違和感を感じる

ずっと目を閉じているのだ


「……あ、私、生まれつき目が見えないんです」

「……いつか、空を見てみたいんです、皆が綺麗だと

言っているので……」


暫く止まったあと、そろそろ冷えますよ、と中へ入った

少女と話したあと、理由は不明だがすぐに寝ることが出来た


ルノン・スティアノア──

どこかで聞いたことがある、と響音は眠りに落ちた


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