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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第三章 「中級警戒区域合宿」
75/81

Act72 中級警戒区域合宿 その後

前代未聞の中終わった中級警戒区域合宿

『顔の無い獅子』『憤慨の魔人 ゴウゼン』

この2つの驚異を排除した養成所の候補生達


たった3日で起こった出来事として

これは後に「スミダ海域の戦い」として語り継がれる


合宿所が厄災の影響により半壊

そのまま合宿は1時中止という流れに落ち着いた


4日目にアリシア、ローガンの2名が合流し

2名の名のもとに『顔の無い獅子』の完全討伐が確認


養成所候補生達は全員何事もなく無事であった

クロード・ヒビネはレア・エバルタを蘇生後

そのまま倒れ眠っていた、体に相当な負荷を負っており

ヒビネの治癒力を持ってしても修復に時間がかかっていた


5日目の明朝──

まだヒビネは目を覚まさないが

バロンの大型バ車の元 王立機関アクロアヘ帰宅

その日、候補生と王下直属部隊は泥のように眠った


────────────────────


響音は夢を見た


どこまでも無限に続く地平線

快晴と美味しそうな綿雲

大地には柔らかい草木が茂り、沢山の蝶が舞っている

太陽が輝くが暑くない、かといって寒くもない


自分の手足に違和感を感じた

傷がひとつも無い、顔にフォークで削られた傷も

腕にある火傷のあとも綺麗に消えていた


視線をまた前に戻すと──先に女性が立っていた

見た事ない女性であった、が


響音は何故か、それを求めるように歩く

1歩、1歩と歩くがその度に女性は小さくなる


「あ、あの」


声を出してみるが届かない

響音は走ってみるがやはり動きに合わせて

女性は小さくなる


これはダメだとなった響音は歩みを止める

歩みをとめた瞬間、たえがたい眠気が来る

流れるように草原の上で横になる


重くなるまぶたに抵抗しようとするが

心地よい風と鳥の声で限界が来る


落ちる数秒前──目の前に、先程の女性が

覗き込んでいた


── ──、──


何かを話しているが響音にはよく聞こえなかった

ただ、最後の一言だけは聞き取ることが出来た


──ごめん、連れてきてしまって


女性の涙が頬に当たる

響音の意識は静かに落ちていった


────────────────────


とある場所──1人の少女は苦しみに悶える


「あぁもう痛いッ!痛いッ!」


本来ならふたつあるはずの翼が片翼しかない少女は

身体を治すため治療を受けていた


「我慢しなさい……」


悶えるのは快楽の魔人キュララ

テキパキと治療をするのは畏怖の魔人ミョラだった


「クソ!クソ!本当にあの男……!絶対許さないんだから!」


ちぎれた羽の断面を見てミョラは不気味に思う


(……魔人の体にこうも簡単に……)


「名前は覚えてるッ!治ったらすぐに殺しに行ってやるわ」


「……どこにいるか、わかるの?」


「……」


「……今は治すことに専念しなさい、これは少し時間がかかるわよ」


興奮するキュララを抑えると、バタバタと足音が聞こえる、呼吸を荒くして現れたのは、誠実の魔人 シェンドであった


「おい!キュララ!ゴウゼンは……」


「うっさいわね!死んだわよ!」


「──誰に、誰にやられた」



「ヒビネって奴よ!あぁもう、今痛いから後にして!」


そう吐き散らかしキュララは寝台に踞り閉め出される

シェンドは仲間を失い冷静で居られずただ、その名前を連呼していた


「ヒビネ……ヒビネ……………ヒビネ……」


そして思い出す キサセイ村で出会ったあの少年

初めてしっかり対話した人間──


「アイツか……」


あの日掴まれた手首を眺めると

シェンドは深く呼吸をして心構える


「──仇は取ってやる、憤慨のおっさん」


正義と悪──


クロード・ヒビネとシェンドの存在は

これから起こりうる様々な事件で関与していく


今はただ、見守るしかない



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