Act67 焼き尽くした理由
今回でな、なんと70話目らしいです!
正直、ここまでやるとは自分でも驚きです!
(……なに?何が起きてるの?)
レアの手と足は紐状のもので固定されており
身動きが一切取れない状態になっていた
手袋も外されており、魔術も使えない状態であった
(落ち着いて……まず何をされたか思い出さないと)
──体感的にそこまで時間は経っていないとレアは
推測した、体内時計の管理は人より自信があった
海面で爆発が起きた後、カマリの「糸が切れた」
発言の少しあとだ
ヴィクシー デルガリヒ キリナ この3人が現場に向かう
カマリを宥めるエクレア
発狂してるルシュ、膝を着いて大量の汗を流すアラン
同じように走っていったキサラとリク
アシュレイとレセナは市民の状態を確認に行ったはず
ネカリは気を失っていた
だから私はネカリのそばに居たはずだ
全員が一瞬『私を視界に入れないタイミング』で
森の中に連れ去られた
(思い出した……)
徐々に鮮明になってきた頭を動かし始める
目の前には2人 逃げることは許されない
体感的に 1時間は経ってない
ならば最善策は一つだけ
(このまま静かにしてれば──)
「起きたならちゃんと顔上げたらどう?」
「……」
「本当はね、倒れてるコを連れてく予定だったの、眼が気持ち悪いし、それに魔力の流れが見えるなんてズルいじゃない?♡」
(倒れてる……ネカリさんの事?)
背中を向けながらも女の魔人は語りかける
意識が戻った事はもうバレている
「だからあの子の住んでた村は全部燃やして全員殺したはずなんだけどさぁ〜」
燃やした?殺した? 誰の村を?
今の言葉の流れが全て本当なら
ネカリが住んでいた、いやその村は全て、もう?
「あの夜によーく見といて正解だった!なんかぶるっと来たんだよね♡こう、なに?虫がいる?感覚というか♡」
「殺さなきゃま〜た増えちゃう、人ってすぐ増えるよね〜♡ほんと可愛い♡よわよわの癖にさ〜」
「なんでッッッッッ!!!!!!!」
予想を超えた声量に洞窟内が反響した
くぐもった声は2人の魔人の耳を突き刺した
「なんでッ……!そんな事を……!」
「なんでそんな簡単に人を殺せるの!」
「なんでって……」
「さっき言ったじゃん♡眼が気持ち悪いからだよ♡」
ダメだ
この人たち──いや、これは
人類の敵なんだ
「……!キュララ!オイ!」
男の魔人はなにかに気づいたように叫ぶ
それをさぞかし面倒そうにキュララは答える
「ん〜ほんとにさぁ……」
足音が聞こえる、全力の足だ
私でもわかる、2人とも怒ってる
片方はわかる、ネカリ君と同じだ、魔力を感知できる
でももう1人は何でだろう、なんで分かったんだろう
「レアッ!!!!!!!!」
「ヒビネさん……っ!」
洞窟の中を走り対峙する響音とキュララ──
その後ろから更に恐ろしい怒気を放つ存在が来る
ネカリと同じく──故郷を燃やされ生き残った
「ゴウ、ッゼンッッッッッ!!!!!!!!!!!」
「ムウッ!?」
燃え盛る右手が男の魔人──もといゴウゼンを殴り飛ばす
洞窟内が揺れ、両手に流れる炎が光を照らす
キリナ・コンラージュ
ネカリ・ウジマと同郷出身
そして憤慨の魔人、ゴウゼンを憎む物
今──【レア・エバルタ救出作戦】が始まろうとしていた