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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第三章 「中級警戒区域合宿」
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Act64 『顔の無い獅子』討伐作戦4

ルシュはアノセに生を受けてから15年ほど経つ

しかしここまで耳が潰れるような音は初めてだった

海に巨大な穴が開き、爆風を喰らう


しかしその爆風は厄災のものでは無かった

やがて風が収まると、空は雲ひとつ無い青空

天から光の柱が降り注ぎ、海水が雨のように落ちてきた


「……倒……した……の?」


ルシュは震えた声を出した


「確認しますよ!デルガリヒ!キリナ!」


ヴィクシー達は海面の近くまで走っていく

走る3人を見る中、隣に座っていたカマリが

両手を地面に付けて 白い顔をしていた


「糸が……切れた……」


それは、その場にいる全員を絶望させるには

あまりにも残酷な言葉だった


「あは……カマリ様、じょ、冗談が過ぎて……」


アランが必死に耐えるが、カマリの顔は変わらず

そのまま頭を砂浜に打ち付けた


「いや……ダメだよ……そんな……」


手の震えが止まらない

ルシュはの視界はみるみるうちに悪くなる

脳を直接揺らされたような吐き気がする


「嫌だッ!嫌だ嫌だぁ!ヒビネ、やだよぉっ!」


涙を流しながら海の方へ走る

足が上手く動かず転ぶ、立ち上がりまた走る

ヴィクシー達の確認作業を通り過ぎ、海へと入る


警戒海域など関係なく、絶えず探す

──しかし、いつまでも見つかることはなく

濡れた身体に冷たい波を打ちながらルシュは放心した


「私が……私が私……わた、わ、、」


「ルシュ!!!!!!!!!!!!!!」


大きな声でルシュを呼ぶキサラ


「はやく!」


手を引いてルシュを走らせる

たどり着いたそこには──


「あ……アンタがルシュ?」


──金髪の……派手な女の人がいた


───────────────────────


体が動かない、冷たい──


あの爆発のあとどうなったんだろう

厄災は倒せたのか、皆は無事か

どうなってるのか不明だが確かなことは──


(たぶんこのまま死んじゃうな……ぼく)


痛いという感覚はもう無くなっており

血液が残ってるのかもわからない


段々と薄れゆく意識の中、何かに引っ張れる

一瞬の激痛のあと、恐らく砂浜へと放り出された


「うっ、ごホッ……」


「……あの人には内緒で1回だけ助けたげる、まぁ多分バレるんろうけど……」


「ぁ……」


「ル……しゅ……」


響音の意識は完全に途切れ、静かになる


「……ほかの女と名前間違えるなんて、サイテー」


──────────────────────


「だ、誰ですか貴方」


「……」


目の前の金髪の女性は、ジロジロと私の顔を見てる

顔をグイッと近づけ瞳の裏側を覗く勢いだった






「……わたし、コイツの彼女」


「え……」


「早く治して……起きたら伝えて」

「貸しひとつ……って」


女は音もなく、消えた


さて……?

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