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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第三章 「中級警戒区域合宿」
66/81

Act63 『顔の無い獅子』討伐作戦 3


風が弱まった

海面を中心に大きく流れる風の檻は少し緩やかになった

空に浮かぶ雲が少しだけ動き、そこらに陽の光が差す


「まだ、昼だったんだ……」


まだ家の形が保っている場所で養成所の候補生達は

ひとり厄災に向かった響音を待っていた


「やっぱり、俺も行った方が……」


アシュレイが立ち上がろうとするが

キサラに止められる


「ダメでしょ、無謀だよ」


全員が緊張している中、カマリがピクッと動く


「右の糸が3回動いた!設置できた証拠や!アラン!」


「わかりました!【炎魔術】《ファド》!」


アランはカマリの横にある魔力痕に炎魔術を流し込む

アランはかなりの広範囲で同じ魔力痕に遠隔で魔術を

発現させる事が出来る


「これであとは……待つしかないのか……」


大きく揺らぐ海面が音を鳴らしながら

ただ今は、祈る事しか出来ないのであった


────────────────────


球体という名の爆薬を設置し終えたヒビネは

再度、落ちてきた穴付近の近くまで移動する

響音の顔はとても青くなっていた


呼吸はできるといえ、段々と酸素は薄れていく

厄災がもう一度呼吸をすればいけるかもしれないが

その瞬間自分の体がズタズタになるし、外にいる

全員にも被害が及ぶことになってしまう


……響音がやろうとしてる事は、強化魔術を付与した

内側からの爆発


響音は過去、ミノル先生が目の前で実践してくれた

実験を思い出していた


試験管の中に水を入れ、ゴム栓で止める

そした底からバーナーで水を温めると中に圧力がかかり

ゴム栓は飛び跳ねて爆発する


見よう見まねだが、ガラス(氷塊)に強化魔術をかける

それが強化魔術の限界を超えはじけた時、とんでもない威力なのではないか──


(※ 本作品はファンタジー要素を強く含んでいます)


どれくらいの時間が経ったのだろうか

響音は横に倒れ、意識が無くなりかけていた


一定期間ごとに左手が少し動く

外で待機してるカマリが時間を決めて引っ張っている

それを右手で返す手筈になっているのだが──


(ダメだ……力が)


酸欠の頭痛、厄災の体内を流れる風の刃

なによりも気分が悪すぎる周囲の触手


左手だけがズリズリと動く


(…………あ)


響音の脳内に映る──いつの日かの記憶


ゴミだらけの部屋、血で濁った床

目の前に倒れる──女性の身体

その女性に絶え間なく暴力を振るう男


(……)


(…………せんせい?)


これは──僕が死んだ日の


その時、とてつもなく巨大な音が鳴り響く


音は止まることは無く、さらに大きくなっていく

響音が爆薬を設置した場所から炎が燃え上がり体内を爆裂させながら口の方まで轟く


その威力は、力ない響音を巻き込むには十分すぎる威力だった


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