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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第三章 「中級警戒区域合宿」
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Act62 『顔の無い獅子』討伐作戦 2

だいぶ長くなってしまいました。

色々ツッコミ所があると思いますが、ファンタジーだと思っていただければ幸いです

アシュレイとルシュは額に水を流しながら集中する

「球体」を作るというのは中々酷な作業であるのだ


レセナは引き続き水の壁を展開し続けている

大量の魔力を消費してる中、ネカリとキリナは

レセナに魔力を絶えず供給していた


ヴィクシーと響音は作戦の内容を練っていた


「……これホントに大丈夫か?」


作戦内容を見ていたアランが不安の声を上げる


「成功したら倒せて……無理だったら死ぬくらい」


「それ、なにもよくないだろ」


「しかし……これが本当に可能なら新しい創造魔術が出来そうですね、しかもかなり強力な……」


「よし……」


行動の流れを書き終えた響音は改めて内容を共有する


「やることは……『内側から爆発』させるだけ……」


「この厄災が……自分が知ってるものなら……顔の無い獅子の真ん中には「穴」があるはず……」

「そこに『コレ』を入れる……それだけ」


「……誰が入れるの?」


「僕が入れる、生き延びた時に……さいあく、治るかも」


「──いや、だから……!」


アランがついに大声を上げ、響音の顔を掴む

驚いた響音が何も出来ずにしている


「それお前が犠牲になる可能性があるだろ!」

「嫌なんだよ……!また……、もう……!」


言葉が震え、涙を流すアラン

その瞳の奥には後悔の念が映っている

この子もきっと、何処かで大切な人を失ったのではないか


「……アリシアが厄災を倒した時の犠牲者は7人です」


「あの、アリシアでさえ、犠牲者を出してます」

「【厄災級】を倒すというのはそういうことです」


アランが力なく響音の顔を掴む


「なら……俺が」


「それは……だめ、この作戦はアランがいないと成立しない」


重苦しい空気が続く中、アシュレイの声が響く


「……っどうだ!ヒビネ、この大きさで大丈夫か?」


響音の半分以上はあるであろう大きさの

球体が出来た、響音はそれをもつとキサラを呼ぶ


「キサラ……これ思い切り殴れる?」


珍しくアシュレイとルシュが「え!?」という顔をする


「いいの?」


「……キサラが殴って壊れたら……そもそもダメかも」


「……なるほど、じゃあ遠慮なく!」


キサラは構えを取り、深く深呼吸する

……今まで見てきた中で、いちばん大きく髪が揺れる

キサラの右腕が赤くなる、文字通り赤くなる


「ちょっ、キサラさん、それ──」


ヴィクシーが何かを伝える前にキサラが大声とともに

右腕を球体にぶつける


ピシッと音がしたが球体はなんとか形を保っていた


「……防壁魔術を4回くらいかけて正解だったな……」


「ふーっ、これ凄いね、相当硬いよ」


キサラが地面にドカッと座る


「ありがとう……じゃあ後はアランとエクレアさんお願い」


エクレアが紙に描いた魔力痕を4枚球体に貼り付ける

アランがその紙に炎魔術を流し込む


「よし……最後、レセナさん、球体の半分くらいまで水をお願い……」


「……わかりました、1度壁が無くなります、防壁魔術をお願いします」


デルガリヒが周囲に防壁魔術を建てる


その間にレセナが仕事を終え、倒れる


「……すみません、今、すぐ……」


「いや、ありがとう、もう大丈夫だよ」


響音は球体を持つと、ギリギリ被害が少ない海の方まで歩く

……彼女は、今にも泣きそうだ


「大丈夫……ちゃんと戻るよルシュ」

「レア……ネカリ様、お願いします」


ネカリは響音の体に糸を巻き付ける

レアは特大の魔力を込めて魔術を発動させる


「……【超風魔術】《オバウィド》!」


響音の身体が飛び上がり、海上へと投げ出される

体を動かしながら海の中を目視確認する

暗く、よく見えないが、間違いなく鬣──

触手のようなものを捉えた


中心部分にあるさらに深い闇を見つける

体中に襲いかかる風の刃を利用しながら

体勢を整え、海へと入水する


(……おおきい)


そこには響音が想像していたよりも巨大な

「イソギンチャク」が存在していた


(………………あった!)


触手の中心、泡が漏れ出す口があった

響音は力を込め泳ぎ始める

しかし、想定内ではあったが、予想外が起きる


(……!呼吸した、吸い込まれる……!)


顔の中心に水流が流れ、とてつもない激痛が走る

響音は身体を丸め込め、身を任せ──


ドンッ!


打ち付けられた


「ぐっ……」


目を開けると、上には恐らく落ちてきた穴

そして周囲にはうごめく無数の触手が粘液と共に壁にビッシリと付いていた


「ここが……」


体内に入り、響音は下の方まで降りると

光り輝く結晶のようなものがむき出しになっていた


「心臓……?でも、イソギンチャクに心臓は……」

「いや、ここにしよう」


響音は結晶の近くに球体を置く

右手を「3回」大きく上下に降ると

球体は大きく燃え始めたのだった……


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