Act6 決着 2匹の熊型魔獣
遅くなりましたが、月末まで毎日投稿続けられます!
ルシュは窮地に立たされていた
2匹の魔獣は間違いなくルシュを目掛けて走っている
止まっていれば自分を含め後ろの人達も被害に遭う
逃げる選択をすれば街にも大きな被害が出る
決断は早かった
魔獣に向かって走り出すのが最適解と判断した
魔獣は近づいてくるルシュに飛びかかる
ルシュは冷静に後ろに反りながら体を滑り込ませる
「小盾……っ」
手の平を中心に小規模の攻撃を防ぐバリアが展開される
これにより魔獣の腹の下を一瞬止めながら通り過ぎる
1匹目はそのまま地面に激突する
息する暇もなく2匹目が押し潰すように手を上げる
準備していたルシュは魔獣の眼前にひび割れた石を投げる
石は目の前で光となって炸裂して魔獣は大きく怯む
ルシュが使ったのは「瞬光石」という衝撃を与えると一瞬大きな光を放つ道具 80ルニアで購入可能
「ルシュ!」
「ブライさん!」
被害を出すことなく兵士と合流する事が出来た
ブライ・べスキアは城下町の兵士の中でも指揮官にあたる
存在であった
「1番隊から5番隊は攻撃魔術で牽制!6,7番台隊は住民の避難と手当を!」
「ハッ!」
「防壁隊は2匹の頭上に半円で防壁魔術展開しろ!」
大型魔獣2匹の上を包むように先程ルシュが利用した
小盾とは違う規模の壁が展開された、跳躍した時の行動を制限するためである
「ルシュ、早く離れなさい」
「はい!」
しかし──
「魔獣が再度行動!」
場所を離れるルシュを追うように2匹は動き始める
隊列の攻撃魔術を喰らっているにもかかわらず
「なっ……!?本当にあの子だけ狙っているのか……!?」
魔獣は何故か人間を見境なく襲う
例えそれが殺意のない赤子でも、戦う意思のない老人でも
だが、特定の人間だけを襲うとなると──
(匂い……もしくは……知能を持ってる……?)
ルシュは辺りを見回す
(噴水……はない、獣油なんてもっと無いだろうし……)
思考を重ねる中、魔獣は目の前まで迫っていた
突然の出来事でもあった為、控えの瞬光石も失っていた
(まずい……っ!)
「危ないッ!」
魔獣が詰めると同時に横から体を突き飛ばされた
バランスを崩したまま倒れ込んでしまう
突っ込んできたのはあの少年だった
2人は覆い被さるように転がる上が響音で下がルシュだ
「貴方!なんでここに……」
「だい、じょう、ぶ……?」
ルシュは驚いた
「貴方、声が!」
「あっ、今は」
気づかないうちに迫ってたもう1匹魔獣が響音の首に
噛み付く、血飛沫が飛び散る
生暖かい液体がルシュの顔に張り付く
その時思い出す、最後の父親の顔
あの日も最後に私を庇って──
「イヤあぁぁーーっっ!!!」
「あ"ああ"あああああっ!!!!」
紫色の光がルシュを包んだ
あの日の夜と同じ、大きな大きな光
たが、今度はルシュは見逃さなかった
光の発生源は右腕、指先から二の腕までが包まれていた
その拳は裏拳のように魔獣の頭に激突した
あの人おなじ弾け飛ぶ魔獣の体
そのまま倒れ込んだ彼の体
まだ残るもう1匹の魔獣が──
右に、ズレた
魔獣の胸元からやや、斜め横に一直線
彼とは比にならない出血をしながら魔獣は切り落とされた
切り落とた魔獣の奥には1人の人間──
「お姉……ちゃん」
「……」
アリシア・ピァーニ
王下直属部隊 【一凪】の隊長が静かに立っていた