Act53 生き地獄だ!
8月も1/3が終わりましたね。
作者もようやく一段落か〜と思っています
「コラー!!!ネカリ!体軽くしてサボるなー!!!」
「エクレアッ!ペースが落ちてますよ!速く走れとは言いませんが下げるのは言語道断ですよ!!!」
「アシュレイ!レセナ!貴族だからといって手を抜くわけではないぞ!お前らは特に厳しくするぞ!」
「アァッ……死ぬって……これ」
「お姉様……ゼェ……も、もう1時間は……は、はしって……」
「「……!…………!!」」
──時代と場所が場所なら通報されるようなシーン
王下直属部隊の隊長達と候補生達の「合宿」が始まっていた
先日、キリナより発令された「中級海域警戒合宿」
時間は、昨日に遡る──
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「中級警戒海域合宿?」
候補生達が突如言われたその単語に興味を示す
「その通りッス、では……ヒビネ!」
「アノセに来てから半年が経ち、色々と勉強をしてきたと思うけど……」
「アノセにおける『海域』とはどういうモノッスか?」
「海域……」
響音は今まで見てきた資料を思い出しながら話した
アノセにおける海域
平たく言えば「近づいては行けない場所」
何故か?答えは「魔獣が出現する場所」だからだ
アノセに魔獣が誕生した日は不明
どうすれば魔獣が消えるかも不明
なら「魔獣がどこから現れるか」は推測出来ないかと
昔の人達は考えた その結果
水中から出現する確率が90%を超えている事が判明した
残りはそのまま地中から、あとは「突然出現した」というケースもあるがそれは稀有だった
つまり「海」は「めっちゃ危険な場所」という事である
「正解正解!完璧な答えッス!」
キリナが響音の頭を撫でくりまわす
「そして言葉通り海域には『安定』『中級』『危険』……そしてもうひとつ上には『禁忌指定』と言うのもあるッスが……これはまぁ非常に少ないので気にしなくても構いません」
「今回向かうのは中級警戒海域、頻度で言うと10日に1回ほど魔獣が海から現れる可能性のある場所ッスね」
キリナの説明に対し、ルシュが質問をする
「それは……行くのに安全なんですか?」
「安全じゃないよ、だから行くんだ」
キリナは真剣な口調で語る
「養成所に来てから半年以上、君たちはかなり力も育ちました、言うなれば今回の合宿は『試験』でもあります」
「魔獣が出現しない事に越したことはないけど、仮に出現した場合、掲示板依頼とは違い『自分でどう動くか』が課題となります」
「それと10日間の合宿での更なる体力強化と自分が使える魔術、なんなら創造魔術を生み出す事も視野に入れて……くださいっス!」
キリナも疲れたのかいつも通りの口調に戻る
「てな訳で明日の朝に迎えが来るので〜準備しといてくださいね!」
そう最後に伝えるとキリナはダッシュで玄関まで戻った
と、言うのが昨日までの話、そして今は──
「アラァァァァンッ!何倒れてんだァ!立てぇ!」
「レア!それは走っていません!歩くです!小走りでもいいので走りなさい!!!」
「いやっ……ハァ……ゴァ……ほん、とに……ザッア、死ぬ……」
「………………」
「え、あれ、レア!?歩きながら気絶してる!?」
それぞれが生き地獄を味わいながら合宿先の周辺を永遠と走っていた
ただ、中には──
「4人は安定してるッスね……ヒビネもいるのは
ぶっちゃけ想定外ッスよ!」
響音とルシュ、キサラとリクはペースを崩すことなく走り続けていた……