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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第三章 「中級警戒区域合宿」
55/81

Act52 嵐の前の日常

9日目、いよいよ三章開幕します。

よろしくお願いします

魔族とは人類の敵


魔族とは親の仇


魔族とはこの世に存在してはいけないもの


「しかし、これは歴史とは異なるものだ」


そこには一際赤い目を輝かせた男が立っていた


「我々魔族は、元々普通の生き物だった、人間だった」

「しかし人間たちの非道なる行いにより──」

「我々魔族は望まぬ誕生をしてしまった」


男の前には6人の影──

語る男に敬意を評するが如く頭を垂れている


「諸君、準備は整った」


「ついに全ての我が魂から同胞を復活させる事が出来た」


「悲哀 愉悦 憤慨 快楽 畏怖 誠実」


「6人の我が魂たちよ」


「始めよう、これは復讐ではなく──」


「本来の形に戻る為の、戦いであると!」


男の鼓舞と共にその場にいた6人の魔人──

否、おびただしい量の魔獣達が巨大な嘶きを上げる


「その時までしばし身体を休めよ」


王たる魔人はその場から音なく消え去った


───────────────────────


「ざこシェンド、どこいくの?♡」


快楽の魔人 キュララ 先のキサセイ村の戦いに現れた

女型の魔人であった


「鍛錬だ」


誠実の魔人 シェンド 彼は先の戦いで大敗を得た


「鍛錬ねぇ♡魔人なんだから魔術を使いなよ、だからこの前だってすぐ負けたんでしょ?ざぁこ♡」


シェンドが止まる、ゆっくりとキュララに顔を向ける


「あ、怒った?♡」


「そういえば……あの時は激昂していて伝えそびれたが」

「助けてくれて感謝する、憤慨の所にも行かないとな」


シェンドは両手を合わせ頭を深く下げると

そのまま歩いていった


「……」


「いい子だよね、あの子」


キュララと同じく女型の魔人が姿を現した


「みょんちゃん……」


みょんちゃん、と呼ばれた魔人は

畏怖の魔人 ミョラ

ロングヘアの片目が隠れた女性だ


「誠実から作られた子だよね」

「ありがとうなんて、しばらく聞かないよね」

「そうだよね?私もそう思う!」

「私とは大違いだよね」

「私なんてみんなからゴミみたいな目で見られて」


「みょんちゃん、落ち着いて、ね?」


キュララがミョラの耳を塞いで落ち着かせる


「…………ララか、どうした?」


明らかに人が変わった


「いや?なんでもないよ、ゴハン食べ行こ♡」

「新鮮なのある場所、知ってるからさ」


───────────────────────


暑い

いや本当に暑い、厳しい!


「アシュレイ……もうちょっとだけ……魔力を……」


「無茶ゆうな、もうかれこれ1時間はこのままだぞ」


養成所のリビング、ソファに座る候補生達


男は(※響音とリクを除いて)アシュレイの近くに張りつく

アシュレイが常に氷魔術を霧状に漂わせてるのだ


「ちょっと貴族なんだろ?もう少し頑張れって」


「こういう時だけ貴族を出すな、ヒビネとリクを見習え!」


ヒビネは書斎にある本で知識を蓄え

リクは手元で正方形の結晶使って何かをしている


「……リク様、それは何を?」


気になったレセナがリクに話しかける

ただ、リクは喋ることなく黙々と何かをして……

正方形の結晶を真ん中に穴を開ける、そこから引き伸ばし

ひも状の輪っかの形に変える、輪っかに手を添え

青い光と共に3個ほど、ネックレスのような物が出来た


ひとつのネックレスをリクはレセナの首にかける

突然の事に驚いたレセナは表情が固まる

周りの人もギョッとなる


「そ、こん、、急にこんな……あら?」

「涼しい……?」


「なん……だと……!?」


アランが残ってるネックレスを首にかける

しばらくすると、ネックレスから冷気が発現する


「うおおおおおおお!!!!!!」


アランが発狂する中、玄関からキリナが顔を出す


「こんちゃ〜って、どうしたンすか?」


候補生達は、しばらく「冷気ネックレス」に夢中だった


───────────────────────


「え〜というわけで、本日は皆さんにお知らせです」

「超重要な話なのでしっかり聞くッスよ」


キリナは全員に書類を渡すとタイトルを読み上げる


「皆さんには明日より『中級警戒海域』近くの宿で合宿をして貰います」


それは、夏の追憶となる候補生たちの

長いようで短い十日間になるのだった


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