Act49 増援
5日目です、物語が少しづつ進みますね
「京楽の……魔人?」
「……」
「……わからない、その魂を持つ魔人は知らない」
「……そうか」
デルガリヒは先程までの殺意が薄れる
興ざめしたような顔になった
「ならばもう、用はない」
デルガリヒは引き金に手を置き、そのまま──
「デルガリヒ様!」
後ろから大きな声が聞こえた
同時に、シェンドの後ろから迫る影にも気づく
「【氷塊の行進】《レイダリアーゼ》」
無数の巨大な氷塊がデルガリヒの身体を目掛けて放たれる
しかしそれは殺意ある行動では無く、あくまでシェンドから引き離すための魔術だった
「あーあー、ボロボロじゃんシェンド〜よっわぁ♡」
「誰一人として殺せてねぇじゃねぇか!何してたんだァ!オイ!」
妖艶な姿をした女、シェンドをも超える身体の男
2人に共通する赤色の眼──
「あの2人も、魔人……!?」
「さ、3人も、嘘でしょ……!」
レア、エクレアは目の前の光景に唖然とする
デルガリヒも距離を取っている
「えっ♡お兄さんカッコい〜、タイプかも、
キュララと一緒に遊びませんかぁ♡」
妖艶な雰囲気の魔人はデルガリヒに近づくが
デルガリヒは頭に銃弾を打ち込む、ガギン、高い音が鳴る
「フラれちゃったぁ〜〜〜♡」
放った銃弾を、口で受け止めそのまま飲み込む
「おいグララ、戦いたい気持ちはわかるが引くぞ、森の奥からとんでもなくデケェ魔力を持ったやつが「2人」来てやがるぞ!オイ!!!」
「私の名前はキュララね〜♡」
「女の名前は間違えるなよ」
後半につれて冷たくなる口調に合わせ、
大柄な魔人の頭が吹き飛ぶ
が、間もなくして頭が再生し元通りになる
「ガハハハハハハハハ!悪ィな!オイ!」
大柄な魔人はシェンドを掴みあげる
「待て!俺は負けたのだ、逃げることは」
「はいは〜い♡よわよわシェンドちゃんは静かにね♡」
ピッ、とシェンドの首に何かを突き刺すとそのまま動かなくなり、気絶する
「カッコいいお兄さんまたね、ちゅっ♡」
女の魔人は投げキッスを飛ばしたあとそのまま空へと消えていく
「まて!」
デルガリヒは発狂に近い声をあげるが、3つの影ははるか遠くへと消えてしまった
地面に無造作に置かれた剣を持ち上げ
刃の部分に付着した魔人の血液を地面に飛ばしふき取る
「忌まわしい……」
「デルガリヒ様!お怪我は……」
離れていたレアとエクレアが近づく
デルガリヒはいつも通りの顔で2人と会話をする
「あなた達!」
森の奥、村の入り口からバロン(馬)の足音と共に女性の声が聞こえる
「お姉さま!」
「エクレア……!」
駆けつけたのはエクレアの姉でもあり【四聖】隊長のヴィクシー
それと養成所メンバーでもあるアシュレイだった
「エクレア、大丈夫か……他の皆は?」
「3人とも無事です、ケガはひどいですが、命に別状はありません」
「そうか、ならよかった」
気づけば日が昇り始めていた、魔人との接敵で生存をすることができた
養成所メンバーにとっても大きな一歩だった
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デルガリヒとヴィクシーの会話……
「というかデルガリヒ様、貴方も呼ばれていたのなら何も一人で先に行かなくてよかったのでは?」
「ん?俺は誰といけなんて言われてないが……」
「え?キサラさんが飛ばしたワロウスを拾ったのでは?」
「いや、俺は王城の兵士から『キサセイ村に大量の魔獣が出現したため応援に向かえとヴィクシー様より……』って」
「……?確かにアシュレイ君には声を掛けましたが、兵士にそんな話は……」
「そもそもお前がワロウスを拾ったなら俺に伝わるわけないだろ」
「……あ、確かに」
「……ん?そうなるとあの兵士はなんで……」
「「…………」」
「まあいいか」「まあいいでしょう」