Act5 王下直属部隊
遅れました!ごめんなさい!
通常なら4日間居たはずのルシュの売店が
今回は1日だけというのもあり
いつもより早く商品は売れ、いつもの2倍の在庫も問題なく売り切ることが出来た
今日はもう切り上げようと、撤収の準備をしていた
今回は売るだけではなく、少年を連れてロギアの家に行かなければならない
広場の入口から轟音が鳴り響いた
「魔獣だーッ!」
広場を巡回していた守備兵士が大声で叫ぶ
確認できるだけでも巨大な熊型の魔獣が2匹確認できた
その容姿はあの日の夜の魔獣と似ている
兵士達が集まり各々が陣形を立ててる中
熊型魔獣は辺りを見回してるのみで動きがない
「べスキア隊長!ワウロスの飛翔!確認しました!」
「よし、確隊は3人1組で行動しろ!」
「はっ!」
ブライ・べスキア
フォルの夫に当たる存在であり
ルシュの父親替わりの存在であった
ワウロスとは伝書鳩のようなもので
映像と言葉を記録させた結晶を迅速で届ける生物
アヴェルニア王国で1番早い鳥類であり
知力も高く手懐ければ色々な用途に使える
「グルオーーーーーーーーーッ!!!!!!」
「な、なんだ!?」
大型魔獣は突如大声をあげると
ビグ中央広場に戦車の勢いで突撃する
兵士の魔術や攻撃には目もくれずに突っ込んでいく
「なんだ……?広場に何が……」
目を凝らしてみるとあるひとつの嫌な予感が走る
「……ルシュ!?」
熊型魔術の2匹は今は亡き親友の忘れ形見に向かって
突撃していた
─────────────
アヴェルニア王国 アヴェルニア城の待機場所……
「伝令!ワウロスより伝令!」
王下直属部隊
アヴェルニアに存在する住人の上位約1%しか存在していないと言われる国王が直接選んだ兵士──
王下直属部隊はまず
6つ部隊が存在する
【一凪】【二蓮】【三帝】【四聖】【五幻】【六導】
数字が小さくなるほど部隊は強力になっており
ひとつの部隊は5人で固定されている
ただでさえ母数の多い兵士たちの中から
たったの30席をアヴェルニア王国の優秀な兵士は狙う
問題点があるとしたら──
6席はもう、確実なものであるという事
「状況は?」
ヴィクシー・Y・アグロニア
「はっ!城下町ビグ中央広場にて災害級 熊型が2体!」
「広場に災害級2体!?防壁魔術はどうなってんだ」
デルガリヒ・アフルレイド
「兵士達と住人の証言によると空から出現との事!」
「空間魔術じゃないすか!これで今月4回目っすよ〜?」
キリナ・コンラージュ
「出現してから数分、特に行動は見られない様です!」
「人を襲わない魔獣なんて存在しませんえ」
カマリ・R・アランセル
「新たな情報です!特定の住人に対しての攻撃を開始!災害級のため、迅速な援軍を要請しています!」
「なるほど……《匂い》でも覚えさせたか……」
ローガン・N・デュアゴ
「すぐに向かいます、【四聖】の皆を──」
「お待ちください」
5人が話し合っていた中 ただ1人
明らかに違うオーラを持った女性が立っていた
「私が行きます」
王下直属部隊 最強部隊 【一凪】の隊長──
アリシア・ピァーニ
ルシュの──実の姉である