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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第二章 「養成所邂逅編」
48/81

Act46 誠実の魔人 シェンド

魔人

魔獣 アノセにおける人類の敵 人を襲う どこから来るかは不明 海の果てから来ると伝えられている 赤い目が特徴


魔人 魔獣が何かしらの形で知恵を得た存在

20年程前に存在が確認されたと噂がある


魔人に対しての情報が少ないのは


対峙した際の生存率が絶望的に低いためである


───────────────────────


人間は得体の知れないものと出会うと恐怖すると

誰かが言っていた


だけど目の前に居るのは間違いなく自分と同じ人の形だ

それでもなお、手足が震え、額に冷たい汗をかくのは

対峙するものが人間では無い「何か」を思わせる


「…魔人」


キサラが小さく口にした瞬間、魔人と思われる者は

大きく地面を蹴り飛ばす


えぐれた土塊がキサラと響音に襲いかかる


「ッ!」


逆立ったキサラの髪の毛は勢いよく飛んでくる土塊を撃ち落とす、防ぎきれない細かい塊が頬をかすめる


当の相手は何事も無かったように語りかける


「俺は魔人という名前ではない」

「我が名はシェンド 王の魂より『誠実』を与えられし獣」

「お前たちの名前はなんという?」


目の前から発せられる威圧に声が出ない

集中はしているがキサラの心臓は今にも壊れそうだ


「響音」


後ろからいつも通りの声が聞こえた

いつも会話している声だ


「キサラ、僕この人と話してるから皆起こしてきて」


響音は普通に歩きだした


大丈夫?怖くない?殺されない?しなないよね?


「大丈夫だよ」


心でも見透かされたように響音が答える

キサラは落ち着きを取り戻したあと

他の3人が眠る宿まで走る


「おい……」


シェンドは手先を走るキサラに向ける

が──それよりも早く響音がその手を掴む


「人と話す時にはよそ見しちゃダメだよ」


響音が手首を掴み、シェンドの顔が少し歪む

そのうち徐々に自分の魔力を奪われてるのを感じる


(なんだ……?魔力を吸われている……?)


シェンドは強く手を振りほどく

顔を近づけるが響音は動じない


「ヒビネッ!」


後ろからネカリ達の声が聞こえる

シェンドは大きく跳躍して距離をとる


「うわ……不快な体してるね、この人」


顔を歪めたネカリが刀で指す

全員がいつでも戦闘をとれる状態になっていた


「5人か……」


一呼吸ついたシェンドは両手を大きく開き構える


「多人数という誠実さには欠けるが問題ないッ!」


地面が抉れる踏み込みのあと、ネカリの刀身に

シェンドの拳が刺さる


1度鍔迫り合いをしたのち、体重を落とし後ろへ下がる

空いた隙にキサラの拳がシェンドの鳩尾を狙う


シェンドが膝を上げ受け流したあと横から光が映る


「【雷魔術】《バリダ》!」


エクレアの魔術がシェンドの顔面に飛び掛る

大きく頭を後ろに──「今です!ヒビネさん!」


上を見上げた先に響音の足が映る


(回避が──)


ズドン、と大きくシェンドの体が吹っ飛ぶ


が──


「……やるな」


大きなダメージを与えたように見えない──!


「少しだけ使うか……」


シェンドが大きく呼吸をすると

顔面に白い紋様が浮び上がる


「……!明らかに魔力の流れが変わった!気をつけろ!」


まだ、夜は続く──


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