Act39 ネコ!捕獲作戦
遅れて申し訳ないです!
2週分繋いだので少し長めです!
ネコ!捕獲作戦
以下、アヴェルニア王国出版の辞典より
ネコ──
三ツ目と鋭い爪が特徴的な門番家畜の一種
普段は大人しく、人間にも従順だが
一度飼育方法を間違えると首輪を千切り野生へと戻る
野生に戻った場合の対処法は
攻撃を与え続けて大人しくさせる
再度首輪を付けるの2択となっています
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「氷魔術!」
アシュレイが双剣の片方を地面に突き刺す
ネコに向かって地面が凍りついていく
危険を感じたネコは跳躍したあと
後方で構えを取るレセナに飛びかかる
「水の壁!」
レセナの前に水の壁が三層並ぶ
突っ込んできたネコは動きが鈍くなり時が遅くなる様な感覚におちいる
「全員目!つぶって!」
ルシュが叫ぶとネコの前に石を投げる
瞬時に眩い光を放ち、ネコの視界を奪う
「アシュレイ様!」
「良いタイミングだ!」
水で濡れたネコに向け再度氷魔術を展開する
パキパキとネコの体が塊さらに動きは鈍くなる──が
「ニギャギギギギ!」
ネコはその場で四方八方に爪を振り回しながら
大暴れをし始める
「!」
滅茶苦茶に振り回された腕はアシュレイの体を目掛ける
「危ない!」
「……っ!」
ルシュの声よりも早く響音の体がネコとアシュレイの間に割って飛び込む、響音はアシュレイを支えながら転ぶ
腕には爪の切り傷が深くできていた
「フーーッ!フーーーーーッ!!」
ネコの目が眩む中でさらに興奮し、
幸いにも4人がいない方向へネコは向かい出す
4人は1度岩陰に身を隠し、息を整えていた
「……ヒビネさんの魔術は、発動してない……?」
腕に傷を負った響音
しかし、頭が揺れるような症状にはなっていない
「しかし、最初にネコがヒビネに襲いかかった時は発動していたはずだ、ネコが少し後退、俺もすこし喰らった」
アシュレイの言葉にルシュが思いつく
「……最初のネコはヒビネをだけを襲っていた……」
「ヒビネに対する明確な殺意……」
「……野生状態のネコは凶暴です、一理ありますね」
響音が初めにネコから向けられた殺意、しかし──
「……しかしそうなると、オルトの件はどうなる
いくら何でも殺意を持って肩を持ちはしないだろう」
「んん……そうなりますよね……」
レセナも何かを得かけた響音の力にはわからずじまい
「とりあえず、ネコどうしよう、すっごく興奮しちゃってるかも……」
「……ネコって元々はどこに住んでるの?」
響音が質問を投げかける
「うーん、森の中が多いかな?」
「……ネコって、人食べる?」
響音のストレートな質問に目を開くアシュレイだが
焦ることなく答える
「……野生のネコは凶暴化すると聞いたが、人を食べた前例は聞いたことがないな」
「…………森の中以外のネコに会ったことは?」
「森の中以外は人に飼われてる時、後は番でいることが多いですね、見た目は多少怖いですが中々可愛いですよ」
「……その時って、1回でもネコ襲ってきた?」
「……」
アシュレイ、レセナ、ルシュは少し考えたあと全員が同じ答えをだした
森の中以外では襲われたことは無い、と
それを聞くと響音は立ち上がって1人ネコが逃げた方向に向かった
「ヒビネ!危ないよ」
「大丈夫……まってて、着いてくると大変かも……」
「わかった、ただ10分以上音沙汰無しなら俺達も行くぞ」
響音が頷くとそのまま森の奥に消えていく
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暫くすると響音が戻ってくる
その後ろには大人しくなったネコと
響音の腕の中には……
小さなネコが心地よさそうに眠っていた
依頼人の元へ向かった4人は事の経緯を説明した
多少なりとも傷つけてしまったことを謝罪した
依頼人はもそれは充分に承知していた
なにより新しい生命が産まれたことがなによりの喜びだと
何よりも気になったのは響音が1人でどうやって
ネコを連れてくることができたのか
普段は凶暴ではない動物が凶暴化する瞬間は
お腹がすいた時と……子供が生まれた時!
そう教わっていた響音は依頼人の話を思い出していた
「ちゃんとご飯は毎日あげていたけど……」と
つまり空腹ではないとわかった響音は
上裸になりながらネコに近づいたという
初めこそ攻撃はされたが手を出さない内に
手懐けることができ、子ネコの保護も完了していた
依頼が完了した4人はアヴェルニアで唯一、
湖が見える場所に来ていた
ルシュがオススメした異様に甘いジュースを片手に……
「あ……ま過ぎないか?これ」
「え?そんな事ないでしょ、ね、レセナさん」
「はい!初めて飲みましたがこれは癖になります」
女子二人揃ってズゴゴゴゴと飲んでる間
アシュレイと響音はその異常な甘さに胃の中を攻撃されていた
「……しかし、ヒビネがいてくれて助かったぞ」
「もしもお前がいない3人だったら、親子を引き離してしまう所だったな」
「今日の貢献者はヒビネさんですからね」
「……たまたま」
「たまたまでも!」
ルシュが響音の頬を掴んで遊ぶ
顔をもみくちゃにされてる時、ふと響音がルシュの手を掴んで止める
「え……ヒビネ?」
湖の端──波打ち際に倒れた人影があった
響音は急いで倒れてるモノまで駆ける
浜辺に打ち上げられたソレは問題なく人であった
ただ、腕やら背中やらにたくさんの生傷が出来ていた
響音は自分が着ていたパーカーを着せる
濡れた髪を持ち上げるとそこには、
目が眩むほど美しい顔立ちの少女だった
「ヒビネ!?その子は……」
あとの3人も響音に追いつく
「ま、まだ息ある…………あれ?」
あげた髪を見たあと、あまりにも自然だった為
響音は一瞬見落としていた
「……猫だ!」
「え……どう見ても人間じゃない?」
その少女には頭部に2つの大きな猫耳が着いていた