表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第二章 「養成所邂逅編」
34/81

Act32 地球の先生

腕を掴まれていた

歩くスピードが合う事は無く、半ば強制的に歩かされてる


中学生になった響音は父親と共に学校へと向かっていた


「だりいなぁ、てめぇが学校行かねぇからクソみたいな説教喰らったじゃねぇか」


そう言いながら父親は響音の腕を強く掴む

やせ細った響音の体は今にも折れそうなくらい跡が付く


どんなに苦しくても言葉には出さない


「痛い」とでも言えばさらに痛みが増えるから


春、祝福を奏でるはずの桜の色は響音には霞んで見えた


学校までのこの道でどれだけ自分の体はまた削れたのか


もう問題を起こしたくない


小学校は「問題を起こして」死ぬ1歩手前までにされた事がある


いくら痛みに慣れてきたとはいえ

死んでしまっては元も子もない


──そうこうしているうちに中学へたどり着いた


前住んでいた場所とは違う区域の中学だ


今日からこの中学内にある「支援教室」に入る


……玄関の前に1人の女性が立っている

女性はこちらに気づくと近寄ってくる


父親となにか話すと、そのまま父親は去り

女性とふたりになった


……女性は腰を下げる、下に俯く黒色の目を覗き込む


「大丈夫だよ」


言葉の意味がうまく理解出来なかった


ただその一言に何か救われた気がして


気がつけば響音は涙を流していた


初対面の人の前で、ここまで泣くのは始めてだ


女性は響音の手を握る


「私 赤塚ミノルっていいます」

「3年間、よろしくね」


──────────────────────


「……ネ……ヒビネ?」


「……え?」


少し昔のことを思い出していたらしい


今この空間は、寮の1階にある唯一、鍵の付いた部屋

扉には「相談室」……あらため雑に「怒られる部屋!!!」

と書いてあった


誰が書いたかは何となくわかるが……


この部屋にルシュと響音は呼ばれた


呼んだ人物は──アリシア


「早朝に呼び出してしまいすまない、本当は昨日の夜に伝えたかったんだが、緊急の予定が入ってしまってな」


響音達は先日入寮し、昼間に寮内を散策したあと

夜は王下直属部隊(1部)のメンバーと入寮祝いの宴をした


本来【二蓮】以外の部隊が来る予定だったが──


急遽【一凪】【二蓮】【五幻】が来れずにいた


「この後は養成所内の案内もある……手短に終わらせよう」


「クロード・ヒビネ……君は、どの世界からやってきた?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ