Act30 全員集合
「す、すいません!遅れました!」
玄関から声が聞こえる
声の主はレア・エバルタ
……そしてなぜか腰に繋がれてる男 ネカリ・ウジマが
最後の2人として寮に到着していた
「ウジマは、また……」
キリナは呆れた顔でウジマの頬を叩く
「ほら、起きるッス、うーじーま」
バヂンバヂン!
おおよそ手から出るとは思えない音が鳴る
「ぅ……」
ネカリはのろりとその場に経つ、その身長はやはり高く
レアのおおよそ1.3人分の身長はあった
今にも死にそうな顔、細い身体、パーマのような髪の毛は
ダンデライオンを思わせる見た目をしていた
「ん……おぉ、君は」
ネカリは響音の姿を見つけると音もなく近づくと
試験の最終日のように体をペタペタと触る
「おほ〜やはり不思議な体をしてる」
「ちょっと!アンタねぇ!」
エクレアがネカリを引き剥がす
……が、前のように行かずネカリの体はミリとも動かなかった
「ん〜身体構造的には間違いなく僕と同じなのに」
「なんだろうな〜根本的に何かが違うような〜」
体を容赦なく触られて特に何も感じない響音だが
これまでのここの暮らしから少し緩みが出た響音は
少しだけ抵抗を示す
「ごめん……もう離して──」
その言葉と共にネカリの体は膝から崩れる
「……!」 「あら……」
アシュレイとレセナは見覚えのある光景に反応する
試験の1日目に、オルトの膝をつかせたのと同じ現象だった
「……やっぱり、不思議だぁ……」
膝を着いたネカリはしばらくして立ち上がる
(なんだろうな……)
(魔力の質が急激に悪くなったような……)
「ヒビネさん、大丈夫ですか?」
レアがヒビネに近づいて話しかける
「あ……レア……」
「……眼鏡、変えた?」
響音はレアが掛けてるメガネを指さした
「えっ……わかるんですか?」
黒縁のメガネからスッキリしたクリアフレームになった
美人の顔がよく見えるようになっている
しかし、はて、とレアは顔を傾げる
「……これ、眼鏡って言うんですか?」
「……あ……っと」
響音が一瞬ルシュの顔を見る
明らかに焦った顔で響音を見ていた
「………………鏡、わかる?」
「鏡……?あの鏡ですか?化粧するときの……」
「……僕が住んでた場所……目を鏡で通す……意味で」
「眼鏡……って、言ってた」
「そういえば、ヒビネさんが住んでた場所は凄く遠い場所何でしたっけ」
「そう……」
響音はもう一度ルシュの顔を見る
頭を激しく上下に降っていた
良かった、間違って無かったみたいだ
「はいはーい!!全員揃ったのでそこまで!」
「館内案内するッスよー付いてきて!」
キリナは全員に声をかけると
ホールの方に出ていった
……1人だけ、リビングに残る影がいた
リビングに置いてあるソファで寝ている
リク・レダ
何もかも謎な男の子だ
……起こした方がいいか?
「あの……」
その声に反応してリクは起きる
その後ジッ……と響音の顔を見つめる
「今……俺に話しかけたのか?」
「あっ……ご、ごめんなさい……」
リクは体を起こすとホールに向かう
「……変わったな、クロ……」
「え……」
どこか懐かしい風を感じた響音は
遅れてホールに向かうのだった