Act24 王立試験 最終日 ルシュとエクレアとネカリ
作者は胃潰瘍で倒れておりました……
遅れてしまい申し訳ございません!
恥ずかしくなりその場を離れたルシュ
そこに居たのはルシュにとって見知った顔で……
私はルシュ、人形みたいに可愛い顔が特徴的なの
「ちがーーーーーーーう!!!!」
別に何も意識してなかった
響音は素直すぎる性格だなのは理解していた
それでも、ずっと名前で呼んでたという事実と
自分がいない所で言われる褒め言葉と言うのは──
1人の乙女としては、複雑なのである
「あれ……ここ」
走っている間にいつの間にか外に出ていたらしい
周りには私と同じであろう4日目の試験
「普通に生活する」を実施している人達がチラホラ居た
中には隊長と話している人間、合格者であろう人と話してる人もいた
その中で……
一際目立つ金髪の髪を揺らしている少女がいた
少女はルシュの存在に気づいて大きく手を振る
「ルーシュー!!!!!!」
少女の体が一瞬光ったと思うと次の瞬間ルシュの目の前
にまで迫っていた
パチパチと静電気が浮かび髪の毛が少し浮かぶ
「アグロニア様!」
「エ!ク!レ!ア!」
金髪のツインテールをふわふわ浮かせた少女は
エクレア・Y・アグロニア
そう、【四聖】の隊長、ヴィクシーの実の妹である
そしてこの2人は2日目の試験の際にペアにもなっていた
「ルシュ、4日目の試験に残れたのね」
「私の弟子なだけあるわ!」
エクレアとルシュは2日目の試験の際
9割以上エクレアが怪我をしてルシュが治療
エクレアの我儘を全部答えてあげていた
そのお礼としてエクレアの弟子になったのだ(された)
「ところで……普通に過ごすのが試験内容なのよね?」
「うん、そうみたい」
「じゃあアタシが雷魔術を全部教えるから、覚えるわよ!」
エクレアは自分の体に電気を纏わせながら
動き回っている、1回移動する度に呼吸が切れているが……
「所で……エクレア、その、後ろに縛りついてる男の人は……?」
「ああ……、なんかね、お姉ちゃんに朝『合格者は2人で行動してて』って言われて……でもコイツずっと寝てんのよ!」
ルシュはエクレアの腰にロープで縛り付けられてる
男性の名札を見る
(ネカリ・ウジマ……)
体格はかなり大きい……けど細い
響音よりは太いけど
「重くないの?」
「ん、そいつ自分の体重を自由に変化させられるらしいのよ……ほら」
エクレアは寝ている男、ネカリの服を親指と人差し指だけで掴むとそのまま上に持ち上げる
それはまるでお鍋の蓋を持ち上げるように水平のまま浮かび上がった
「おお……」
「おおじゃないわよ!今日1日ずっとこれよ!?」
「話しかけられた人全員に変な目で見られたわッ……!」
皇族がよくわからない眠っている男を腰に縛り付けてれば誰だってそうなるだろうと
「ところでアンタ、後ろにさっきから……」
「えっ?」
ルシュが振り向くとそこにはフラフラしながら歩く
響音がいた
「…………あっ」
自分がここにいる理由を思い出した
死んだような顔で響音が目を合わせた
「あ……ルシュ……ぼく……まちがって……」
そこまでを言葉にした後響音は倒れる
身体が弱い上にここまで全力で追いかけたら
響音からしたら長距離走を3回走ったに等しい
「……もしかしてこの子が話してたヒビネ?」
「ちょっと、大丈夫なの?」
響音はぐったりはしているが顔色は悪くなかった
疲労だろう、室内から外に出るだけで疲労である
響音が倒れエクレア、ルシュが近づいた
この時──エクレアに縛り着いたロープが外れていた
静かに起きたネカリが響音を囲うように反対側に行く
「あれ、アンタ起きたの?」
「……」
ネカリは響音の顔を覗き込んだ後
そのまま身体を細かく触り始める
その手はあろう事か響音の素肌にまで到達する
「ちょっと!何してんのよアンタ!」
エクレアはネカリを掴みあげるとそのまま引き剥がす
「ルシュ、もうその子連れて行きなさい!」
ルシュは言葉通り響音を担いでその場を離れる
「アンタね!初対面でしかも倒れてる人の身体触るなんて不躾にも程があるわよ!」
「……」
「何とか言いなさいよ!」
「……随分と、変な体してるなぁ、って」




