Act20 王立試験 3日目……?
20話です!
オルトを殴り飛ばしたあと
目が覚めた響音に待っていたのは……?
響音は夢を見ていた
同じ服に身を包んだ男女が同じ場所に入っていく
それを遠くから響音は見つめていた
やがて誰も居なくなると初めて響音はその場所に入る
皆が入っていた場所じゃない、裏の場所から
そこから階段を上がり左の最奥の部屋
部屋に入ると出迎えるのは3人の顔
いつも笑顔で響音を迎えてくれる女性
白衣に身を包んだ先生
僕の左に座る男の子
口は悪いけど、いつも僕を守ってくれる、優しい人
僕の右に座る女の子
とっても頭のいい子、だけどたまに人が変わった様になる
不思議な人
一緒に過ごした時間は少ないかもしれない
そこまでお喋りもしてないかもしれない
だけど、あの部屋
あの教室だけは
僕が「ここに居てもいい」って思えた場所
今、皆は何してるんだろう
僕と同い年の2人、お別れも言えなかった
あと、先生は……
…………ミノル先生
……あれ?
僕があっちで死ぬ前に……
……ミノル先生にあった気が──
──────────────────────
「先生ッ!!!!!!!!」
「わっ!」
今まで聞いた事のないヒビネの大声にルシュが驚く
ここはベットの上、傍にタオルを絞るルシュがいた
「大丈夫?気持ち悪くない?」
響音の額にルシュが手を当てる
ほんのり暖かい温度に響音も安心を得る
「うん……大丈夫」
そう伝えるのを聞くとルシュはポロポロと涙を流す
「……!?」
突然の涙に響音は驚き焦る
「……だって……いつも……ヒビネ、倒れて……」
響音はこの世界に来た夜、広場で魔獣に襲われた日
そして今回の王立試験2日目の日
全て一撃を放った後に 吐き、血を流し、体がグズグズ……
その度に治ってはいるが痛々しい傷は消えないのを見て
ルシュの心配も無理は無い
「ごめん……本当に、大丈夫だから……」
手を握りながら泣くルシュを落ち着かせるために
(えっと……)
──響音ちゃん……よく頑張ったね……
ルシュの頭を、震えながら少し撫でる
人の頭に触れるのは初めてだ
ルシュの涙声が徐々に落ち着き、顔を上げる
その時バッチリと目が合い──
「あの〜イチャついてる所本当に申し訳ないんスけど」
「「うわあああああっ!!!」」
「そんな驚かなくてもいいじゃないスか!」
響音とルシュの間にいつの間にか【六導】の隊長
キリナが気まずそうにいた
「あー、とりあえず無事で良かったッス、響音クン」
「あの後ずーっと目を覚まさないから心配で」
やれやれ、とジェスチャーをするキリナ
「どれくらい……寝て……た?」
そう聞くとルシュもキリナも少しだけ微妙な顔をする
「あっと……」
「まぁ……丸1日……というか……」
丸1日…………
まるいちにち!?
「あれっ……試験は」
「……」
「……」
──クロード・ヒビネ
王立試験3日目 寝過ごしの為
脱落