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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
第一章 「王立試験編」
20/81

Act19 王立試験 2日目 終了

19話です

響音とレア、森の中で起きた出来事を話したあと

オルトの反応は良い物ではなく……

「……これが私たちの森の中の出来事です」


響音とレア(主にレアだけだが)は森での出来事を

オルトに話す


「ヒビネ、そんな事があったんだね?偉いね!」


隣に来ていたルシュも満面の笑みで聞いていた

……まるで上手に絵を描いた子供を褒めるようだ


それを聞いたオルト

彼の顔は本当に何もわからないようだ


「……は?」

「今の話の中になんの意味があんだよ?」


オルトの顔は冷静だが首元には青筋が浮かんでいる

抑えているつもりなのだろうがオルトの周囲は

風が絶え間なく流れている


響音の目から見ても「殺気」が溢れ出ていた


「……王下直属部隊の三大理念、言えるか?」


「あ?なんだよそれ」


「わかるわけないよな」

「お前……筆記試験何も書いてなかったしな」


その場にいた試験者達がザワつく


「…………」


「1 己の正義を信じよ

2 己の力を己だけに使うな

3 己の行動が我らの行動になる」


「これの2項目目、これは「他人を助けろ」って意味だ」


デルガリヒは指を2本ヒラヒラしながら

説明をする、これは確かに試験問題にもあった


「お前は相応しくなかった」

「お前の近くにも居たはずだ、助けを呼んでいた声が」


「……」


オルトは……思い当たる節のある顔をしていた

確かに──声は聞こえた気がしていた

だが目先の欲望だけに囚われ、全てを無視して……


「……お前に置いてかれたもう1人、そいつが助けてなかったらどうなってたのかな」


「……もう一度言うぞ、オルト・U・リセイス」


デルガリヒの次に出る言葉はその場の誰もがわかった


「──お前は脱落だ」


「…………………………………………ハッ」

「【絶望風襲ヴィオル・テンペスト】!!!!」


オルトが魔術を詠唱する

その瞬間とてつもない風と周囲の瓦礫や木々、砂と塵が

デルガリヒを一直線に襲う


「【大盾オルシルド】」


デルガリヒは短い詠唱で龍の様な風を止める

──しかし、例え粗暴は悪くも皇族

デルガリヒの大盾は一瞬留めたものの砕け散る


「ふむ……この威力、特級魔術か……」


デルガリヒの体に傷が多く付く

血が少しずつ溢れ初める


「……やむを得ないか」


デルガリヒは腰に提げていた銃を取り出しオルトに向ける

しかしオルトはこれに何も億さずにいた


「ハッ、いいのかよ、撃てるのか?」


デルガリヒは軽く発砲する

しかしそれは全てオルトの周囲に吹く風によって

地面に押し流され、威力を完全に殺される


「おいおい、本当に撃ちがった!」


オルトは手を叩きながら笑う

完全に人を馬鹿にしていた


「お前がなんで王下直属部隊に選ばれたかは知らねぇ……、けどな皇族でもない魔力の質の悪い一般人が俺に勝とうなんざ100年早ェんだよ!」


オルトはそう言うと歩き出し、地面に倒れる響音に近づく


「おい、デルガリヒとか言ったな」


オルトは響音を無理やり起こす


「コイツを脱落して、代わりに俺を合格させろ」

「コイツは肩ァ揺らされた位で泣きわめく雑魚だ!」


オルトはあの夜のように響音の肩を乱暴に掴む


「う……っ」


「ぐ……」


その瞬間、オルトはまた脳震盪のような歪みを覚える

が、今回は戦闘態勢の影響で持ちこたえる


「……よく分かんねぇ気持ち悪い魔術だな」


オルトは響音の首を掴むとそのまま地面に叩きつける


「ガ……っ!」


「……!ヒビネ!」


「ヒビネ……君!」


「貴様!その子は関係ないだろう!」


響音が苦痛の声を上げ

ルシュとレア、デルガリヒがそれぞれ反応する


「あるさァ!理屈はわからねぇが俺は昨日コイツに恥をかかされてな!!」


オルトの力がますますあがり、風の勢いも強くなり響音の体は切り刻まれる


「オラどうすんだよ王下直属部隊様ァ!コイツこのままだと死んじまうぞォ!?」


オルトが全身全霊の力でもう一度響音を叩きつける

響音は糸が切れたように目が虚ろになる


「……!【反消──」


デルガリヒが詠唱を始める……その時

響音がゆらりと立ち上がり、オルトと視線を合わせる


「……あ?お前なんで立てて──」


言葉を最後までいい切る前に

響音は、オルトの顔面に拳を叩きつけた


直撃した瞬間紫色の光が炸裂する


オルトは養成所の壁に叩きつけられ、崩れ落ち

そのまま動かなくなった


「ヒビネッ!」


風が収まりいち早く動き出したルシュ

倒れる寸前だった響音を、それよりも先に動いていた

デルガリヒが受けとめた


口から目から血を垂れたがし、気絶する響音

──しかし治り始める傷


デルガリヒは神秘のような光景を見ていた


「アリシア……お前は一体何を見つけて来たんだ……?」


空には笑っているような月が昇っていた


王立試験 2日目 終了

残り人数 32名……

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