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傷まみれの旅人  作者: へびうろこ
序章 「あの時の出会い」
2/63

Act2 ルシュ・ピァーニ 15歳

2日目です!よろしくお願いします!

明日市場に持っていくジャムがない


時間は深夜の1時くらい、市場に売り出す商品を用意していたらうっかりないことに気づく


ルシュ・ピァーニ 両親は幼い時に亡くなっている

唯一の肉親は姉が1人だけど、今は別の所にいる


毎月、姉からありえない量のルニア(お金の単位)が届くけど、使わないようにしている


使ってしまったら何か成長できないような気がして


幸いにも家族が残してくれた家とバロン(移動用の動物)のお陰で商売は出来ているから、ちょっと貧しいながらも普通に生活できている


それに今年はやっと「あれ」にも行けるし

いつまでも甘えてはダメなんだよね


──


お父さんに「夜の森は危ないから入っちゃダメだよ」

って言われたけど、もう15歳で大人になる歳だし…

ジャムの材料摂るだけならカナリヤフクロウを辿ってけば良いだけだし、そこまで深く行かなくても大丈夫


動きやすい服装と獣の血を混ぜたランプを手に

森に向かう、血を混ぜないと敵だと思い込んで襲いかかってくる


「魔獣」はそういう生き物。

目が真っ赤で、青色の影が揺らめく

人類の敵である魔獣


……風の噂だと

知識を得た魔獣が進化を続けると

人の形をした「魔人」になるとかなんとか……


そうこう考えているうちに、フクロウの歌声が聞こえてきた、ジャムの材料を食べたから満足して機嫌がいいのだろう


歌声が聞こえている間に材料を回収していく

10個くらい取っておけば大丈夫だろう。


ついでに水辺の近くの茶葉を取ってから……


……コポコポ


……何かが浮いてる


間違いなく……人である


上が黄色い服を着た黒髪の男性だ

気泡が上がってるから死んではいないと思うが


確認するためにそっと手を伸ばすと……

歌声が終わっていることに気づいた


「まずっ……」


動いた時には遅かった

魔獣だ!しかもかなり大型の……


巨大な手の大振りがぶつかる

間一髪で腕で受け身を取るが、頭がクラクラする

獣の血を嗅いでも攻撃してくるってことは

上位の捕食者、まず勝てる相手じゃない


しかし運悪く避けた先には巨大な樹があり激突

さらには大型魔獣の2回目の攻撃が腹部を抉る


「ぉ、ごは、ッ」


軽装とはいえ万が一の為に鎖は巻いてあるが

粉々にされてしまった


前からの力と後ろの大木も合わさり腹が圧迫され

吐瀉物を出してしまう


このまま死ぬ……?

パパとママと同じで、あの日と同じように

私も魔獣に殺されるんだ


魔獣の腕はまた上にあがり、最後の一撃を浴びせる

覚悟を決めて目を瞑ると──


バチィ!と大きな音が目の前で響いた

ルシュには当たることなく、目を開けてみると


先程水に浮かんでいた男性が、恐ろしい量の血を流しながら倒れていた


「嘘……なんで……」


大型の魔獣は涎を垂らしながら男性の首元に噛み付く

そのまま自分の巣に持っていくつもりだろう

止めようにも痛みで思うように動くことが出来ない


その瞬間、紫色の光が辺りを包んだ

音もなく、ただ一瞬世界の天候が変わったかのように


ほんの数秒の出来事の後、目の前に広がる光景は


上半身がバラバラになり、下半身だけが立っている

魔獣の姿だった


黄色い服の男性はちょうど魔獣の腹部があった場所に

拳を置いたまま止まっていた


男性すぐにその場に倒れ込んでしまう

なんとか身体を動かしたルシュは、息があるか確認する


小さいながらも息があるのを確認した

ただそれ以上に──


「傷が……ない……?」


噛みつかれていたであろう首、殴られて出血したはずの

箇所は綺麗さっぱりとなくなっていた


──ともかく自分の体が回復するのを待ち

男性……いや、男の子を担いで家に戻った


彼の体はとても軽かった、今まで持ってきたものの何よりも……


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