Act14 王立試験 1日目 終了前
寝てました!危ない!
ギリギリですが2本目です!よろしくお願いします!
「……誤解です、キリナ様」
レセナは顔を歪ませながらも今起こった出来事を説明する
自分はただ挨拶の為に動いたこと、身長のせいもあってか怖がらせてしまったかもしれない事を伝えた
「キミは?」
キリナはガラの悪い青年、オルトに声をかける
「俺は何もやってないですよ」
「ふーん」
キリナはオルトの目の前に立つとおもむろに肩を置く
肩を掴んだあと、体の軸を中心に上に向かって腕を回転させる、自分よりも体格が一回り違う青年を軽く宙にあげる
青年は背中から受け身を取ることなく叩き落とされる
「がハッ!」
「……キミは初対面の人間の肩を乱暴に掴むのが何もしてない、と言うんスね?」
「テメェ!」
オルトはキリナに掴みかかろうとするが
キリナはその場を動くことなく片手で制圧する
背丈も体格も何もかもオルトの方が上だが
赤子の手をひねるように対処していく
「いいからとりあえず座るッスよ」
気がつけばいつの間にかソファーに座らせられていた
オルトは今にも爆発しそうな顔をしている
「子供じゃないんだからやめるッスよ〜もう」
「クソが!一般ごときが皇族にナメた口を」
「ハハッ、ナメてたのはそっちじゃないスか」
「──だから、キミの父親も降ろされたんでしょ」
その言葉を皮切りにいよいよオルトの血管が切れる
ついには魔術痕を展開させるまでしてくる
「あちゃー、言い過ぎてしまったッス……」
キリナは手の甲だけ隠した手袋を外す
そこには複雑な魔術痕が描かれていた
ブツブツとキリナが何かを詠唱してると
「やめないか、オルト」
オルトの足が、凍りついていた
「さっきから見ていれば、恥を晒す行動ばかり」
「皇族の誇りを忘れたか、オルト・U・リセイス!」
奥のソファに座っていた銀髪の少年が声を上げた
「なんだテメェ!急に割り込んできやがって」
「急ではない、キリナ様とお前が対面した時からずっと私は止めていた、お前はずっと無視していただけだ」
ヒビネと同じ身長くらいの男の子が
オルトの正面に経つ
「これ以上、王下直属部隊及び皇族に泥を塗るようなら私が相手になるぞ、無論室内ではなく外でな」
その一言でオルトは舌打ちをしながら自分の部屋に戻るため足を進めた──が
「オルト様、こちらの方に謝罪を」
レセナは響音を指し示す
オルトは振り向くと苦虫を潰した顔で答える
「……悪かったな、ガキ!」
「ただ肩掴まれたくれぇで泣きわめくならとっとと出てった方がいいぞ!」
そう声を荒らげると今度こそ廊下の奥へと消えていった
オルトの姿が見えなくなると銀髪の少年は響音の前に立つ
そしておもむろに、片膝をついて話し出す
「非礼を詫びよう、少年……申し訳ない」
銀髪の少年は深々と頭を下げる
これには流石の響音も驚く
「あの……僕はもう……大丈夫……ですか……ら」
「心意気感謝する、私の名前はアシュレイ」
「アシュレイ・C・ロード……皇族だ」
ルシュに教えてもらった、筆記試験にも出てきた──
7つの皇族、そのうちの最上位と呼ばれる「C」の冠
アシュレイは左手を差し出す
「握手だ、安心して欲しい私も……ここにいるレセナも、手出しなどひない、私の何かけて誓おう」
アシュレイは真剣な目付きで響音を見つめる
レセナも笑顔の後、右手を差し出す
「さっ!仲直りのあく〜しゅッスよ!」
不思議なイントネーションで後ろのキリナが
響音の両手を2人の手に掴ませる
「改めて……レセナ」
「レセナ・T・カロットよ、よろしくね」
「響音……黒海堂、響音……」
「クロード・ヒビネ……良い名前だ」
2人は嬉しそうに響音の手を掴んでいた
先程までの恐怖が嘘のように晴れていた
ヒビネーっ!
廊下から聞き覚えのある声がする
ルシュだ
王下直属部隊と皇族2人
3人に囲まれている響音を見て化け物を見たような顔をしていたのであった