一日の終わり
第6話です。是非読んでいってください!!
「え?」紅葉が困惑したように言う。
「魔力を目に纏わせても見えるのは纏ってる魔力だけです、、、シルヴァさんは別のものも見てるんですか?」
「あっ、、、はい、、、なんかCとかSとか色々、、、」
「それは、、、能力でしょうね。そんな事例聞いたことがないですし、、、」リーファが言う。
「まぁそういうスキルがあっても不思議はありません。逆にこんな早くにスキルに気づけたのもラッキーかもしれません。世の中にはスキルを知らずに人生を終えた人もいるってくらいですしね。」
「なるほど、、、これが俺の能力…」
「というか、自分のスキルの記憶もないですんね、、、これはかなり重症ですねぇ、、、」そのリーファの言葉は少し呆れたようにも聞こえた。
「それじゃあ気を取り直して魔力の話に戻ります。」
「すこし外に出ますよ」そう言ってリーファは外に出て行った。
「は、はい!」紅葉も急いで後をついていった。
外は完全に夜が空を覆っていた。
フッ
リーファが自分の半身もあるであろう大きな杖を振った。その瞬間、岩の壁が地面から生えてきた。
「シルヴァさん、この岩を全力で殴ってみてください。もちろん魔力は込めずに。」
「あっ、はい、、、」そう言って紅葉は思いっきり岩の壁を殴った。
ドスっ……鈍い音が広大な草原に響いただけだった。
「いったぁ、、、」思わず拳を押さえた。
「それじゃあ次は魔力を拳に込めてください。」
リーファが淡々と言う。
「は、はい、、、」(この人以外に冷徹だなぁ、、)
ぐぐぐ
紅葉が拳に魔力を込める。
「それでは先ほどの力の半分程度で殴ってみてください。」
「え?あぁ、はい、、、」紅葉は困惑しながらも殴った。
ヴォン!!パラパラパラ、、、 岩は粉々に散った。
「うおっ!!」紅葉は驚きを漏らした。
「わかりましたか?これが魔力です。魔力を、込めれば普段できないこともできるようになるのです!!」リーファが満足そうに言った。
「す、すごいですね」(まさか、こんな差があるなんて、、、)
「それじゃあ部屋に戻りましょう。」
そう言って二人は部屋に戻った。
「とりあえずこれらが魔力の基礎です。これくらいのことを覚えておけば大丈夫でしょう。」リーファが言う。
「あ、ありがとうございます」紅葉が言う。
「………あのー」紅葉が尋ねる。
「??…どうしました?」
「あのっ、なんでこんな色々教えてくれんですか?俺ら初対面なのに、、、」
「んー」リーファが考えるように首を傾げた。
「私困ってる人がいたら見逃せないんです!!」
リーファは笑顔で言った。
「、、、、、、」(そうだ。この笑顔、、、この人はこういう人だった。)
太陽のような笑顔に紅葉は見惚れていた。
「あっあの、じゃあなんでここに一人で住んでるんですか?」紅葉が尋ねた。
「え?」
「あっいやあの、失礼だったら申し訳ないんですけど、明らかに一人で住む家じゃないなぁと思って笑
部屋は分かれてるし、一人で住むにしては広すぎるし、、、少し疑問に思って。」
「あぁ、、、はい、、、元々は祖母と母と父、4人で暮らしたんです。」リーファが少し悲しそうに答えた。
「あっ、、、いえ、、、その、全然!!すみません!少し踏み込んだこと聞いちゃって、、、」紅葉が慌てて言った。
「いや、いいんです!」
「元々私の祖母は魔法使いだったんです。これでもかなり名の通ったすごい魔法使いだったんですよ!、、、でも私が産まれた頃には病気で、私が17歳のころに死んじゃったんです。」リーファは笑いながらも悲しそうに語った。
紅葉は聞いたことに後悔した。
「そこから、父は旅に出ていってしまって、母は」
「いや、すみません!!もういいです!!」
紅葉が話を遮った。
「こんな悲しい思いをさせてまで、、、すみません!」紅葉が謝罪する。
「今日はもう寝ますね!!」紅葉が言う。
「あ、あぁ!わかりました!!」リーファが言う。
「じゃ、じゃあまた。明日、明後日には出ていくんで、、、」紅葉が言う。
「いや、別にそんな急がなくでもいいですよ!!全然いてもらって平気です!」リーファが慌てて言う
「いえいえ!こんないたれりつくせりで!とりあえず今日はありがとうございました!!おやすみなさい!!」そう言って紅葉は部屋に行った。
――――――――
「ふっー」疲れたように、ベットにつく。
いやー疲れた。流石に情報量多すぎ。
大きく息を吐きながら、ゆっくり目をつぶる。
ふと、先ほどのリーファの顔を思い出す。
悪いことしちゃったなぁ。反省反省。
(………俺本当に自分の漫画の世界に来たんだな。
てか、俺のスキルなんかしょぼくね!?別に面白いけど、もっとこうさ。「Theチート」みたいなさ!そうゆうのにしとけやなぁほんと。てか、マジでなんも覚えてないな。今んとこ、リーファの顔と地名と、シルヴァって名前しか覚えてないし、てか主人公のこと、なんも覚えてないし。)
シルヴァの記憶は丸ごと消えたように思える程だった。
(なにをしたらクリアなんだよマジで。あんまりここに長居するわけにもいかないし。でもまてよ、リーファってメインヒロインだよな。じゃあ、俺と冒険とかしていくってわけだよな。…………どうすりゃいいんだこれ。まぁいっか。明日考えよ。)
あっ
何か思い出したように、紅葉は鏡を見た。
特に変わってない外見。普通の長さの黒髪に平凡な顔。本人いわく、イケメンではないが不細工と言われるのは納得いかないという顔。
ぐぐぐ 目に魔力を込める。
(自分のステータスも見れるのかな?)
見慣れた自分の姿に文字が浮かんでくる。
「力」 「E」
「耐久」 「E」
「スピード」「E」
「魔力」 「D」
「魔法」 「E」
「くおっ」思わず声がもれた。
(これはきちぃ。おいおい。チートどころか、底辺スタートだろこれ。まぁ主人公は成長するっでしょ。多分、、、)
ドサっ
再びベットに入り、目を閉じた。
今日は疲れた。(…………俺はもう、夏目 紅葉じゃなく、シルヴァ・アルテイウスなんだな、、、)
そう思って紅葉は眠りについた。
――――――――
なにか、目の前にある。一冊の小説だ。
手にとってみる。……白紙だ。
!!!!
小説が突如光だす。
スー
文字が浮かんでくる。
その瞬間その文字たちは宙に浮かんだ。
パラパラパラ
小説のページが進む。
ズッ
文字が頭の中に入り込んでくる。
突如頭のなかで様々な文字が浮かび、思い出してくる。
そして、頭の中に一つの文が浮かび上がってきた。
俺は無意識にその文を口に出していた。
「第一章 始まりの一日」
一日の終わり end
ご精読ありがとうございました!!是非コメント、評価、ブックマークをお願いします!!