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赤ちゃん



「ヒロ、座ってろよ」


「いや、…うん。」


ヒロは、シイの家に来ていた。カイと坊も一緒だ。


季節は夏も盛りで、北海道では珍しく猛暑が続いている。


ぴーちゃん達は蝉や蝶を追いかけたりして、外で元気に遊んでいた。


ヒロは落ち着かない様子で、立ってはうろうろして、怒られて座って、そんな事をずっと繰り返していた。


「なあ、こんなに時間かかるのか?何かあったんじゃないのか?」


「いや、ヒロ。そんなんだから追い出されたんだろ?」


「いや、でもよ…」


「俺達に出来る事は無い。座れ」


シイにも怒られて、流石のヒロもしゅんとなった。


「ヒロのそんな姿は久しぶりに見るな。」


カイは思わず笑ってしまう。


シイも分かりづらい笑顔で、多分笑っていた。


「アキがトカゲに食われちまった!ってパンツ1枚でそんな顔してたよな!」


「あはは!ヒロ、こんな顔だぞ!」


坊はヒロをからかって、変顔をしてみせる。


「もう、わかったよ…」


その時、


「おぎゃー、おぎゃー」


「!!」


皆んな家から飛び出して、ババ様の家に走る。


「フフッ、まだヒロだけよ。さあ、入って!」


どうやら、カイ達はまだ立ち入れないようだ。


ぴーちゃん達もやって来て、ババ様の家の前で待っていると、中からヒロの泣き声が聞こえてきた。


やがて雪乃とシロが出てきて、


『元気な男の子じゃよ』


『ええ。本当におめでたいわ』


『お披露目は後日じゃ。今はアキを休ませなければな』


皆んなほっとした様子で解散となった。


「早く赤ちゃん見たいな!」


『フフッ。かわいいわよ?』


「名前決めたのかな?」


『アキが考えておったようじゃな』


サラが堪らない様にカイの腕にしがみついてきた。


「私も赤ちゃん出来ないかしら?」


「え?私もお姉ちゃんになりたいわ!」


『そうじゃのう…考えて見れば、子を成すのも悪くないのう?』


『フフフッ。そうね』


「は、は、は、……はぁ。」


『今日はうな重じゃな?』


「私、ババ様に伝えて来るわね!」


クロとミケは風船の様に膨れて、フワフワと皆んなの頭の上を飛んでいる。


カイはそれを見上げながら、自分がまだカイである内にそうするべきかも知れないと、そう思うのだった。

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