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穴を掘るという人生


「なあ、坊。遠い湖ってどんな所だろうな。」


「すげー綺麗な所に決まってるさ!それに、オレは多分そこに行けば、オレが何者なのか分かると思うんだ。」


「坊も自分が何者なのか気になるんだな。」


「うーん…行けば分かるんだから気にはならないな!」


「あはは!坊らしいね」


「オレはここの男が穴を掘ってる所が気になるんだ!」


「実は俺もさ。行ってみたいよな。」


そこに、どうやら男達が帰って来たようだ。


「おかえり。今日も掘れたのかい?」


「もちろんさ。昨日出てきた岩盤の野郎をぶち抜いてやったんだぜ!」


「凄いじゃないか。流石あんただね!」


「こんにちは。お邪魔してます!」


「ああ、あんた達が旅人だな!さっき爺さんに聞いたぜ!」


「レイヤです。」


「カイと言います。」


「皆んな、坊って呼んでくれ!」


「オレ達、穴を見てみたいんだ!」


「穴が見たいのか?変わった奴だな?良いぜ!明日連れて行ってやるよ!」


男達は皆んな背が低くて、とても肩幅の広い筋肉の塊の様な体格をしている。

そして、豪快な髭面の笑顔が特徴的だった。


カイ達は明日の朝、再び訪れる事を約束して、帰宅する事にした。


−−−−−−−−−−−−−−−


『フフフッ。あの人達は面白いわよ。土の民の昔話は聞いたかしら?』


「それは聞いてないよ」


「なあ!教えてくれよ!」


『フフッ、そうね。昔むかし、ある所に……』



昔むかしある所に、


とても仲の良いお爺さんとお婆さんが住んで居ました。


お爺さんの名はツルハシ。


お婆さんの名はサエバシ。


お爺さんはお婆さんの手伝いをして。


お婆さんはお爺さんの手伝いをして。


とても仲の良い夫婦でした。


ある時、山から意地悪爺さんと意地悪婆さんがやって来ました。


意地悪爺さんは言いました。


「婆さんときたら、疲れる力仕事は俺にばかりやらせるのじゃ」


意地悪婆さんは言いました。


「爺さんときたら、面倒なご飯の用意は私にばかりやらせるのさ」


ツルハシ爺さんは言いました。


「それはいかんな」


サエバシ婆さんは言いました。


「それはいかんの」


そこで、ツルハシ爺さんは意地悪婆さんの手伝いを


サエバシ婆さんは意地悪爺さんの手伝いをする事にしました。


意地悪爺さんと意地悪婆さんは


「しめしめ、これで楽ができそうだ」


と二人で笑っていました。


しばらくして、意地悪爺さんはサエバシ婆さんの様子を見に行きました。


「どれどれ穴は掘れたかい?」


「ほれ、このとおりさ」


サエバシ婆さんはサエバシで小さい小さい穴しか掘れていませんでした。


「なんてことだ」


意地悪婆さんはツルハシ爺さんの様子を見に行きました。


「どれどれ、ご飯の用意はできたかい?」


「ほれ、このとおりさ」


ツルハシ爺さんのツルハシでお皿は全部割れていました。


「なんてことだい」


意地悪爺さんと意地悪婆さんは泣きながら山に帰っていったとさ。



「あはは!変な話だな!」


『だから女の人は穴を掘らないし、男の人はご飯を作らないんですって』


「「なるほど!」」



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