ルーとクー
「この階層は洞窟になっているのね」
空が無い階層は昼と夜の概念が無いので、体調の管理が難しい。
慣れないうちは、何日も家に帰らず雪乃に怒られたりしたものだった。
「何か飛んでるな。ホタル?」
「捕まえてみるか!」
坊はそっとその光に近づいてみたが、ふっと消えてしまい見失った。
「実体が無い光かしら?」
「気配はあるんだけどね」
『あはは』
「……」
『のろまね』
『ふふっ。ほんとね』
「……なんだろね?」
「妖精かしら?」
『なにもしらないんだわ』
『おもしろいわね』
「あなた達は何でも知っているの?」
『まあまあ!』
『龍なのだわ!』
『私達に話しかけるなんて!』
「あなた達に名前はあるの?」
『龍と話してはいけないわ!』
『龍の言葉は契約だものね!』
「凄いわ!ほんとに何でも知っているのね!」
『だめよ!ルー聞いてはだめ!』
『クー!名を呼んではいけないわ!』
「こんにちは、ルー。よろしくね、クー。」
その瞬間、光は実体を持ち形を成した。
そこには、羽を持った小さな女の子が二人。正に妖精の姿をした、ルーとクーがいた。
『『龍さま、お願い!イジメないで!』』
「フフフッ。意地悪なんてしないわ。お友達になって欲しいのよ?私はレイヤ。よろしくね!」
「オレは坊って呼んでくれ!」
「俺はカイ。三人で旅をしているんだ。」
『旅の龍なのね!』
『意地悪しないのね!』
「しないさ!約束するよ。」
『ルー。龍が約束したわ!』
『クー。龍は嘘をつけないのよ!』
「フフフッ。私達、土の民に会いたいの。どこに行けば会えるかしら?」
『ルーは連れて行ってあげたいわ!』
『クーは連れて行ってあげる!』
「まあ!ありがとう!」
『こっちよ!』
『そう!あっちよ!』
明るく光るルーとクーに案内されて、カイ達は洞窟の奥へと進んで行った。




