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なんじゃコリャ!

ヒロは怯えて縮こまったままで、動こうとしない。


「あれはヤバい!早く逃げよう!」


「大丈夫だから、ここで待っていろ。それからほら、着替えとけ」


俺が様子を見て来ると言うと、ヒロはしがみついて離そうとはしなかった。

しかし、このままには出来ない。防寒服を着込み、右手にナタを握り締めて、ログハウスに向かったのだった。


ゆっくりと窓から中を伺うが、動いている物は確認出来なかったので、玄関に回り込む。

慎重に耳を澄ましてみても、気配を探れなかった。それが野生生物の類であれば独特の臭いがする筈だが、それも無かった。

ドアの影から中を覗き込む。何も居ないのを確認すると、奥の寝室へ向かう。昨日のパーティーの名残りは有るものの、家具等の乱れは無い。

緊張と恐怖で心拍数が上がってしまっている。静かに深呼吸をしてから寝室を覗くと、


「ッ!!」


確かにそこにはデカいトカゲが居た。だが、ベットに横たわり動こうという気配は無い。それに何より


「…なんじゃコリャ」


そいつは人型をしていた。アニメやゲームとかで良く出て来るリザードマンの様な見た目をして、仰向けに真っ直ぐ寝ている。死んでいる様にも見えた。


更に近づいても動き出す様子も無い。意を決して、丁度部屋の隅に立て掛けてあったホウキで突いて見ても反応が無かった。本当に死んでいるようだ。


「カイ、おい、大丈夫か?」


「ヒロ、お前こそ」


「やっぱり、心配でさ、相棒だからな」


ヒロは無理矢理にぎこちなく笑う。


「こいつ死んでるみたいだな。部屋に血の跡も無い。アキも無事かもしれないぞ」


「!!そうか。すまん、取り乱した。」


少し落ち着いて部屋を見回しても争った様な形跡もなかった。


「取り敢えず、コイツを縛っておくか」


玄関の壁に掛けられたロープで両足首を縛り、更に身動きが取れないように全身を縛り上げた。ヒンヤリと冷たい身体はやはり死んでいるのか、爬虫類の様に変温動物である為なのか。呼吸はしていなかった。


「…な、そんな」


少し落ち着いて居たヒロが、膝を着いて何か呟いている。


「ん?なんだ?」


「これ、コイツの手のこれは…」


「おい」


「コイツは……アキだ…」


「何いってんだよ!」


「これは、昨日俺がアキに贈ったんだ」


化け物の指には、ヒロが贈ったという指輪があったのだ。


「そんな、信じられねえよ」


「おい佐藤さんの様子見に行くぞ」


俺は呆然としているヒロを無理矢理引きずるようにして外に出た。


ドンドンドン!


「佐藤さん!佐藤さん!」


ドンドンドン!


「佐藤さん!大変なんだ!」


ドンドンドン!ドンドンドン!


「クソッ!」


俺は窓を割って中に入った。


「おいおい…マジかよ」


そこには、ベットに横たわる2匹の化け物が居たのだった。




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