微かな変化
『ここを抜けたようじゃな』
龍神様とシロは坊の池を眺めていた。
『何と恥知らずな…それに、奴もかなりの代償を払ったはず。』
『見るのじゃ』
眩しく射し込む朝日の中。
青く光り輝くはずの池の水が光を失い濁っている。
『これは…』
『奴が払った代償じゃろうが、とんだ置き土産じゃな…』
『………』
『今すぐ危険なことは無いじゃろうが、坊に影響が出んと良いがな。』
『…そうですね』
−−−−−−−−−−−−−−−
「ぴーぴー」
「あら、ぴーちゃん。また桃が食べたいの?」
『余程気に入ったようじゃな。』
「まだ沢山あるからね」
お皿にもらった仙桃を美味しそうに食べ始める。
「少し大きくなったかしら?」
『そうじゃな。この時期は日に日に変わって行くのじゃろう』
その側で、いつも元気いっぱいの坊は笑顔が無い。
「坊、具合悪いのかい?」
「頭が痛くてさ。何だろな。」
「風邪引いたかもね。少し横になったら良いんじゃないか?」
カイは坊の額を触ってみるが、熱は無いようだ。
「大丈夫さ。」
『いや、今日は寝ていたほうが良いな』
「雪乃は心配性だな!オレも修行して強くならなきゃ!」
『……お昼には戻るんじゃよ?』
「分かったよ!」
−−−−−−−−−−−−−−−
「カイ?髪が伸びたわね。もう肩まであるわよ?」
「最近伸びるの早いかも。風呂で洗うのも大変なんだ。」
「アザも背中まで伸びたしな!」
「え?ホントに?」
「知らなかったのかよ!?」
「いや、自分じゃ見えないだろ?」
「アハハ!そうだな!」
「レイヤのアザは小さいままだな!」
「……私のアザ!?」
「ほら、首の後だよ!」
レイヤは手鏡を二つ出して、自分の首の後を見た。
「ちょっと雪乃さんに相談して来るわ」
そう言って、水鏡で帰って行った。
ほんの少し、何かが変わっているのかもしれない。
少しずつ……少しずつ。




