深い闇
「そういえばカイ。お前、龍になったのか?ババ様がそう言ってたけど。」
「そうみたい。でもさ、変身したわけじゃないしな。」
「シロさんみたいにやってみろよ。出来るかもしれないぜ?」
「それな。本当に出来ちゃったら怖いだろ?」
「それもそうだな。」
「爺さんも普通の爺さんだしな!」
「爺さん?」
「ああ、龍神様の事だよ。普通の爺さんだよ?」
「今度一緒に会いに行こうぜ!」
「ははっ、そりゃ楽しみだ。」
『カイ。ぴーちゃんが心配だし、そろそろ帰りましょうか』
「うん、そうだね。アキ、また来るよ。」
「ええ、来てくれてありがとう。楽しかったわ!」
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「ぴーちゃん、ただいま」
ぴーちゃんは寝床のカゴで眠っている。
『いい子でお留守番出来たわね』
「かわいいわ…最近羽根がフワフワしてきたわよね」
『どんな大人になるか、楽しみじゃな』
「フレアみたいにでっかくなるといいな!」
『フフフッ。そうね』
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夜も更けて、皆が寝静まっている時。
『……みつけた…………こいつ………みつけた………みつけた……』
バチバチッ!!
カイの周囲に閃光が走る。
『 !! 雪乃!! 』
『ああ!!追うぞ!!』
シロと雪乃は夜の闇を駆ける。
黒い霧の様な影が、月のない真っ暗な闇の中をすり抜けていく。
シロと雪乃は次第にその距離を離され、その影はやがて闇そのものに溶けて消えた。
ズガン!!
稲妻が走り二人に落ちた!
しかし、それは龍の姿の龍神様であった。
『すまん。結界を抜けられてしもうた。』
『まだ近くに居るはずじゃ』
『探るわ』
シロは指で印を切ると世界がモノクロになり、青い波動が拡がる。
『……駄目ね』
『こうも早く接触してくるとはな』
『戻りましょう。カイが一人になっているわ』
『そうじゃな』
『ワシはこの階層を探っておるよ』
『はい。お願いします』
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家に戻ると、いきなりの事態に驚いては居たが、皆身仕度は整えられていた。
『カイ、レイヤ、坊。話して置かなければなりません。』
そしてシロは、皆に闇の種と恵みの大地の因果を語り始めたのだった。




