特別な桃
「一度戻ってシロと雪乃にお土産を渡そう。」
「そうだ!シロさん達も誘って行きましょう?」
「皆んなで会いに行こうぜ!」
「そうだね、そうしよう!」
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「「「ただいま!」」」
『おかえり。ほうほう、また珍しい物を採って来たのう』
『まあ!仙桃ね。良く見つけたわね。』
「これ珍しいいの?」
『そうじゃよ?滅多に実を付けんでの。』
ぴーちゃんがトコトコ歩いて来て、何やら仙桃が気になるようだ。
「ぴーちゃんこれが食べたいのかしら?」
「ぴーぴーぴー」
『あらあら。余程食べたいみたいね。』
レイヤはお皿に一つ乗せ、ぴーちゃんにあげた。
ぴーちゃんは美味しそうに食べている。
「そうだわ!今日ヒロに会ったの!私、ヒロの話を聞いて、どうしても奥さんに話を聞きに行きたくなってしまって。」
「シロと雪乃も一緒に行こうぜ!」
『そうね。ぴーちゃんも少しならお留守番できるわね。』
「ぴーぴー」
『フフッ。いい子ね。』
『それじゃ、皆で行こうかの』
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「ババ様!遊びに来たぜ!」
「「お邪魔します!」」
「まあまあ、丁度噂してたのさ。さあ、お入り」
「シロ様と雪乃も来てくれたんだね。どうぞお入り下さい」
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「初めまして、レイヤと言います。」
「皆んな、坊って呼んでる!」
「初めまして、アキよ。よろしくね。」
「ババ様とアキにお土産持って来たんだ!」
「まあ!美味しそうな桃ね!ありがとう。」
『ババ様。これが仙桃じゃよ?レイヤ達が採って来たんじゃ』
「なんと!これが仙桃なのかい?初めてみたよ。皆んなで食べてみようじゃないか」
「どれ、俺が、剥いてこよう」
「さあ、皆んな座っておくれ」
「私、二人のお話しがどうしても聞きたくて。前にババ様とパパの話を聞いて居たものだから。」
「あら、達也さんの娘さんなの?」
「はい、ババ様のお話しがとてもロマンチックだったものだから、もう私夢中になってしまって……」
この流れは、そう、いつものあれだ。
俺と坊はすすっと部屋の隅に移動する。
ヒロも心得ているようで、剥いた仙桃を盛った皿をすっと出すと、俺達に合流する。
『フフフッ、そうそう、その時の達也はね………』
「きゃー!それでそれで?」
『私は言ったんじゃ……』
「これ、美味いな。」
「ヒロもいつもなのか?」
「カイもか?」
「幸せって、大変なんだな」
「「 まあな 」」
「なあカイ。そういえば、手帳の印だけどな。あれ、桃じゃないのか?」
「「 あっ 」」
どうやら、目的は達成していたようだった。




