お誕生日
『ぴーぴーぴー』
『…………なんと………』
『あら、まあ…』
「世界樹で見つけたんだ」
「お腹空いてるのかしら?」
「何かあげてみようぜ」
座布団の上に色々な食べ物を並べてみた。
ほぐした焼き魚、おむすび、クルミ、ブドウ。
雛はトコトコと近付いていき、おむすびを突付いて食べた。
『美味しいか?』
『おむすびが好きなのね。』
「食べてくれて良かったわ。」
「何の鳥だろな。」
『大きく成らないと分からないわね』
「名前付けましょう?」
「ぴーぴー鳴いてるからぴー子は?」
『カイは相変わらず、センスないわね?』
『シロ様も根に持つのう。』
『クロも被害者なのよ?』
「フフフッ。」
「おむすび無くなったぞ!」
「凄い食欲だね」
満腹になったのだろう。そのまま眠ってしまった。
レイヤはそっとカゴに移してあげる。
「あっ、これ蜂蜜よ」
『ありがとう。パンケーキ焼いたから、食べましょう?』
「やったぜ!お腹ペコペコなんだ!」
『坊も沢山食べて大きくならんとな』
「そういえば、カイは何で小さくなって来たんだ?」
「え?そんなわけ無いだろ!」
皆がカイを見て、
『縮んだかもな』
『そうね、少し』
「そうかしら?」
「オレはカイの事、子供の頃から知ってんだぞ!カイはオジサンなんだ!」
「え?私と同じくらいだと思ってたわ!」
『龍になったからかしら?』
『人間辞めたからのう』
「え?聞いてませんけど?」
『ほれ』
雪乃が姿鏡を作ってくれた。そこに写る自分は、確かに17,18歳くらいに見える。それよりも、
「アザが大きくなってるな」
『後は勝手に龍として成長出来るじゃろ』
『そうね、生まれたてだから、あの雛と同じね。』
「今日はカイとあの子の誕生日なのね!」
『そうね!御赤飯炊いてお祝いしましょう?』
「誕生日の宴会だな!」
そっか、俺は知らないうちに、完全に龍に成っていたようだ。
人間の俺、さようなら。




