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【さようなら】

「それでは行きましょう」


サラは帰還する全ての人達に静かに告げた。


既に先遣隊は水鏡の前に並び、指示を待っている。


わずかな静寂の後、坂本の合図により突入は開始された。


10分が過ぎ、1名の隊員が戻って来た。予定通りである。


「報告します。予定通りにゲート前に陣を構築完了。敵との接触はありません。以上です。」


「よし。第2陣用意。突入。」


そして報告に戻った隊員と共に、更に10名が水鏡に入って行く。


そして更に10分後。


「先遣隊、10時13分、コボルトと思わしき敵5体と戦闘の後、敵を殲滅。こちらの被害無し。現在100メートル地点に陣を構築完了。以上です。」


「よし。第3陣用意。突入。」


今度は20名が突入していく。気負わず静かな動きである。


ここまでの接敵は一度。こちらの被害は無く。順調と言える。


後続部隊が突入すると、各部隊が一つ前に進む。先遣隊は常に一番危険なのである。

しかし、その任務を任せられるだけ、坂本が彼等に寄せる信頼は大きい。


サラは表情を変えずに本部からそれを見ている。


第5陣の突入の後、直ぐに伝令が戻って来た。


「報告します。先遣隊がトカゲの精神攻撃を受けた様です。先遣隊全員が立ち止まり、数分後復帰しました。繋がりによる情報共有の有効性が実証された様です。先遣隊はそのまま前進しております。」


「了解した。」


数分後


「報告します。400メートル地点、陣の構築完了。以上です」


「了解した。」


「第6陣用意。突入。」


いよいよ、予定通りであれば、出口に辿り着ける。


皆に緊張が走る。


そして10分後。


「報告します。出口の確保完了。通路制圧しました。」


「了解。」


「これより本部隊の突入に入る。」


「お嬢様」


宮川がサラの後に付く。


「本部隊突入」


坂本を先頭にサラは水鏡に消えて行った。


それを見送ったレイヤは、クロを抱きしめ、静かに目を閉じるのだった。


−−−−−−−−−−−−−−−


本部隊が洞窟の様な通路を進んで行く。最後尾の部隊は殿としてその後に続き、やがて出口と見られる水鏡に到達した。


「いよいよね。」


部隊はサラの前に整列する。

坂本はその先頭に立ち、サラと向き合った。


「お嬢様。ここで、お別れで御座います。今迄ありがとう御座いました。」


隊員達は一斉に敬礼した。


「な、どうして?」


「皆で話し合ったのです。我々の為に帰る事を決断して頂き、ここまで送って頂きました。これ以上は過分で御座います。」


「…皆さん。…どうぞお元気で」


「お嬢様。行きましょう。」


「…はい」


宮川とサラはこうしてレイヤの元へと帰って行った。


−−−−−−−−−−−−−−−


「……!!ママ!!」


レイヤは突然現れたサラに駆け寄った。

胸に飛び込むレイヤをサラは優しく抱きしめる。


「ただいま!ごめんねレイヤ。」


「…ううん、いいの、いいの」


「もうどこにも行かないわ。」


クロも二人の足元に擦り寄る。

もう、二度と家族を犠牲にはしないと誓う二人だった。



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