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龍神様

「ごちそうさま!明日から冒険だな!寝坊するなよ!」


坊は元気に帰って行った。明日の朝に坊の池で待ち合わせて、いよいよ出発だ。


『ご近所なのに今迄に会った事が無いなんて、不思議ね』


『そうじゃな。』


「シロと雪乃はいつからここに住んでるの?」


『私達はたまにこの地を離れる事もあるのだけれど、一番古くは一万年くらいかしら?』


『私は三千年くらいじゃな。』


…思ってたのとだいぶ違ったけど、昔から住んでいるようだ。


俺は夢で坊と出会った事を説明した。


『なるほどのう。生まれたばかりということじゃな』


『そうね。カイに縁のあるものでしょう。おそらくはそのアザに関係する者ですね』


アザの事は今迄すっかり忘れていた。


『そういえば、カイ達は龍神様に会いに行ったのでしょう?アザについては聞かなかったの?』


「え?龍神様?」


『ほれ山の爺さんじゃよ。』


「………」


『もしかして、知らなかったの?』


「ちょっとボケたおじいちゃんだと思ってた…アザの事は聞いてないけど、これをもらったよ。」


カイは手帳を二人に見せる。


『ああ、祠の』


『…カイ。ここは凄く遠いわよ?』


「坊も、遠くの遠くって言ってたよ?」


『困ったわね。』


『カイが人間辞めればよいじゃろう?』


『そうね、それが良いかもしれないわ。』


「えっと、どうしてそうなるんですか?」


かなり話しが不穏になって来た。


『いや、死んだらそれ以上は死なんじゃろ?』


『簡単なのよ?』


「すいません。どうか命だけは助けて下さい!」


『でも、この地図の場所へ行くには300年位はかかるわよ?』


『早くての。私は400年かかったのう。』


「雪乃でも400年…俺、坊に、軽く連れて行くなんて言ってしまったよ。」


『でもカイは半分くらいは、もう人間では無いからの。』


『そうよ、もう少しじゃない。』


二人とも俺のアザを見てそう言った。


「は、は、は…え?」


『カイはもう半分以上、龍じゃ』


何がどうしたら人間が龍になるというのだろう。


誰か教えてほしい。

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