ババ様とアキ
『どうやら終わった様じゃな。』
ヒロの御守りが輝き出し、光が帯となってアキを包みこんでいった。
まるで繭の様な形になったその帯には、何やら文字が浮かび上がっている。
ヒロも眠ったままだ。
「どうなったんですか?」
『これなら、ヒロは上手く説得出来たようですね。ヒロとアキとの繋がりが出来ていますから。』
『上出来じゃよ。』
「トカゲは繋がりを持てない。言い換えれば、繋がりが出来てしまえば、もうトカゲではいられないのさ」
ババ様がヒロの頭を優しく撫ぜる。
「本当に良くやったね。」
ババ様は椅子に座ると
「私もね、トカゲだったのさ。」
「え?」
「もう、本当に昔の事になってしまったけどね。」
皆んなは知っているのだろう。頷きながら話を聞いている。
「心の世界はこの世と同じ位に広くて、危険な場所なんだよ。生半可な覚悟では生きて戻っては来れないほどね。」
「そこから出れずに囚われてしまう事の方が多いくらいに命懸けなのさ。」
俺はそんな話は聞いていなかった。
「ヒロがね、カイには言わないでくれと頼むものだから、許しておくれ。」
「…まったくアイツらしいですね。」
「心の世界に囚われたものは、魍魎となって災いを起こす。だから皆に来てもらったのさ」
そうだったのか。
その時アキを包んでいた帯がすぅっと薄れていき、アキのお腹の辺りに消えて行った。アキは人間の姿に戻っていた。
ヒロも目を覚まし、アキを見つめる。
「良かった。」
『そうじゃのう。ヒロも良くやったが、お腹の子にも感謝するんじゃな。一番の立て役者じゃよ。』
「…え」
『おめでとう、ヒロ。』
「そっか、そうか…」
ヒロは泣きながら、まだ眠るアキを抱きしめるのだった。




