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【水鏡のむこうへ】

坂本支配人は部下たちを集めて、雪乃から聞かされたこの世界と自分達の世界の情報を開示した。今まで現場で対応して来た彼等であったから、理解は早かった。色々な不明であった事の解答を得て、納得している風である。


ホテルで目覚めた宿泊客達は2日間それぞれの部屋に軟禁されたが、宮川自らが一人一人に細やかな対応をしていたために、それ程の混乱は無かった。

しかし、雪乃によって全てが明らかにされた今、彼等にも情報を共有する必要がある。彼等はトカゲでは無いのだから。


坂本と宮川が揃って客室を訪れ、丁寧に説明していった。不思議な事に彼等はこの2日間で夢に白いオオカミが現れて、同じ話しをしてくれたと話す。


そして、その夜。このホテルシリウスにいる全ての人達がロビーに集まった。


「皆さん。既にご承知の様に、我々は並行世界に迷い込み、これまで信じてきた人、絶対であると信じてきたものが、トカゲによって管理される為のシステムでしかない事を知りました。」


「今回、この並行世界に迷い込んだことは、トカゲの支配から逃れるチャンスとも言えます。」


「しかし私は、皆さんが元の世界に帰る事を優先します。皆さんが個々の判断でこの世界に留まる事を選ぶならば、このホテルを拠点として自由にお使い下さい。」


サラの隣にすぅっとシロがオオカミの姿で現れた。途端にその場が緊張する。次の瞬間に人の姿となり


『初めまして、これから転移ポータルを開きます。』


神々しい声音でそう言うと、ロビーの中央に大きな水鏡が現れた。


『これはトカゲが鏡面界へと向かう為の通路に繋がっています。』


『私はトカゲと交渉し、現在この地にいるトカゲを解放した後、貴方達が通路に入れる様に契約しました。』


『ですが、契約はあくまでも、「通路に入る」ということだけです。』


『心してお使いなさい。奴等が貴方達を素直に通すとは思えませんよ』


『サラ、レイヤ。こちらに』


シロ、サラ、レイヤは3人で手を繋いで祈り始めた。3人の繋がりが拡がって行く。そして、ここに居る全員を包み込んだ時、青く光り輝く繋がりを一人一人が理解していた。それは五感に続く新しい感覚が生まれた瞬間であった。


『これは本来、貴方達皆が持っていたものです。必ずこれからの助けとなるでしょう』


そして、シロは現れた時と同じように消えていった。




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