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【形見】

「そう……あの人が探していたのは、貴女だったのね。」


「ママ?」


「よくこの辺りに来ていたもの。このホテルまで建てて、ね。」


サラは構えていた拳銃を下ろし、そのまま手放した。そのままシロに歩み寄る。


「ママ!!」


「貴女にはその権利があるわ。私は達也を死なせてしまった。」


サラはレイヤに振り返り


「ゴメンね、レイヤ」


シロの前に跪いた。


「どうか私の命だけで治めて頂けますか?」


『…よかろう』


「やめて!!」


流れるような動作で、シロは懐から短刀を抜き、そのままサラの首を薙いだ。余りにも自然な動きだった。


「…あっ!」


サラは目を瞑ったままであったが自分の首が切られた事は理解出来た。


しかし、


『フフッ。良い女ね。』


『この刀は達也の形見よ。人を斬ることは出来ない霊刀。さあ、立って。』


『貴女達の事を恨んだりするものですか。でも、貴女の事を自分で試してみたかったの。許してちょうだい』


『鏡面界で達也を支えてくれてありがとう。サラ。』


「そんな」


『先程、達也の残留思念と会話できたの。クロを通してね。貴女達の事を頼まれたわ。まったく…』


『それとこの短刀はレイヤに渡すようにと。』


「パパが?」


『この地にいた時に身に着けていたものよ。この刀があればトカゲ等に遅れを取ることなど無かったでしょうにね』


シロはレイヤに短刀を手渡した。


『扱えるわね?』


コクンと頷く。


「パパから稽古を受けました」


『レイヤはあの人の多くを受け継いでいるわね。同じ匂いがするもの。』


『サラ。驚かせてごめんなさい。それからトカゲだけれども、今は詳しく説明している時間がないわ。』


風が巻き上がったと思うと真っ白な髪の少女が現れた。


『シロ様は相変わらず、お人好しじゃのぅ。』


「「 !! 」」


『雪乃。後はお願いするわね。』


シロはそう言うと、すぅっと周囲に溶け込む様に消えてしまった。


『さてさて、またまた面倒事じゃなぁ。』


倒れている柳を横目で見ながら、そう言うと、


『ほれ、そなたも起きんか。少々話が長くなるでな。』


(ヤバいヤバい!気が付いてたのがバレてた!)


「はい!」


すくっと立ち上がると、何事も無かったかの様に


「皆さんどうぞ此方へ。只今お茶をお持ち致します。」


柳 さくら 21歳。まだまだ若さで言い訳出来る年齢であった。

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