遠い遠い湖の祠
ウォータースライダーで光のゲートを潜ったカイ達は、バシュンと勢いよく湖から空へと打ち上げられた。
「うひょー!!」
「うわー!!」
「きゃー!!」
そして綺麗な弧を描いて祠の近くまで飛んでいく。
「あ!あそこに祠があるぞーー!」
「あはは!ちょうどいいなー!」
「きゃーー!」
ザッパァーン!と盛大に着水した水しぶきが、祠まで水浸しにしてしまった。
「あははは!!」
「スゲー面白かったな!!」
「あ!危ない!」
「え!?…ブヘッ!」
何かが飛んできて、カイの顔面に突き刺さった。
「遅い!!どうしてカイはそんなにのろまなの!?ねえ!ねえ!」
何と、ぴーちゃんそっくりの女の子が、ドロップキックをそのままに、カイの顔面をグリグリしている。
「あ、が、い、いたい〜!や、めて〜!」
「おまけに!私まで!水浸しにして!ね!どの、くち、が!言ってるんだろうね!ね!」
「お、おい、そのへんで……」
「アンタもよ!」
女の子は、今度は坊の頭を引っ叩いた。
「アンタ!カイを迎えに行かせて何年経ったと思ってるの!?」
更に、パコンパコンとリズミカルに叩き始めた。
「ごめんて!あこちゃん!ごめんごめん!!」
「あこちゃん?…あ〜貴女『愛』ね?」
「ふん!レイヤも相変わらずのんびりさんね!」
カイの顔面をグリグリしながらあこちゃんはご立腹のようだ。
「だってあこちゃん!俺だって記憶が無かったんだよ?」
「へー、私に言い訳するんだ?へーそうなんだ?」
またペシペシが始まった。それはもうドラマーだ。
結局、グリグリペシペシはあこちゃんが飽きるまで続き、カイと坊は完全に意識を失っている。
「ふん!この位で許してやるわ!」
「あこちゃん?意外とワイルドになったわね。」
「もう、こんなとこで一人で居るとささくれるのよ!……さて、」
あこちゃんは乱れた服を整えると、
『長い長い回廊を抜け、良くここ迄辿り着きましたね。』
温かな後光と共に、優しく語りかけてきた。
「いや……流石に無理でしょ…」
『フフフッ。』
「………」
これが皆んなが数百年掛けてまで、命懸けで目指す祠の主。
皆んなが崇拝している『恵みの神様』であった。
………たぶん。




