『 龍の書 』 第二章
第二章
『 心 』
我等は『心』として存在していた。
心の世界とは、それぞれの想い、願い、祈りが形と成る世界であった。
そして、私達家族の存在を『幸せ』と呼んだ。
だが、家族から『調和』を遠ざけた我等は、もう『幸せ』という存在では無くなってしまった。
我等は『幸せを追い求める者達』となったのだ。
それは大切な家族を追い遣った、罪人の称号でもあった。
その過ちに気付き、自ら星となってまで『調和』を求めた『愛』に、『調和』も応えたかった。どれ程酷い事をされていたとしても、大切な家族である事に変わりは無かったのだ。
『調和』とは本来、『次元』『源』『理』『愛』を包み込み、融合させる役割である。
しかし、『歪み』が生まれてしまった世界は、その『歪み』も含めて融合し『調和』しなければならなかった。
それは『次元』『源』『理』『愛』の求める『幸せ』とは、もう同じものではなかった。
そして『調和』は、再び孤独となった。
そこで我等は、やっと自分達の愚かさに気付いたのだ。
『次元』『源』『理』は、自らの存在を『心』から『力』へと変様させる事で、『愛』と『調和』を救おうと決めた。
『心』とは、想い、願い、祈りである。
どうか、我等の想いを、願いを、そして祈りを忘れないでね…。
そして、どうか…あの時の『幸せ』をもう一度。
『次元』そのものとなった、次元の龍。
『源』の力、そのものとなった、源の龍。
『理』そのものとなった、理の龍。
龍となった我等に、まだ僅かに『心』がある今のうちに、この本に書き残す事にする。