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『 龍の書 』 第一章


我々は大切なモノを奪われてしまった。


愛、源、次元、理、調和。全てのバランスが取れた宇宙は崩され、この星に囚われた。


愛しき恵みの人よ。


我等は、貴女を解き放つ為に龍となる。


だが、我等は龍となり心を無くすだろう。


いつの日か、囚われの貴女をこの牢獄から救えた暁には、我等には安らかなる死を与え給え。



第一章


『宇宙』


それは一つの完璧な存在だ。全てが完成していて、調和が取れた世界。


だが、それ故に変化する事は無かった。変化とは完成へと繋がる道なのだ。

又は、完成されたものを、乱し壊す事だ。


寂しさ。孤独。その様な僅かな揺れであったかも知れない。『宇宙』とは、完璧さとは、その様な変化を生み出してしまった。


『宇宙』は、『源』『理』『調和』『次元』『愛』を創造した。それはこの宇宙で、初めの家族であった。

 

しかし、我等には奢りがあった。


『源』は太陽を創造し、星を作り出し、命を与えて全てを創り出した。


『理』は秩序を作り、循環を生み出す事で変化を安定させた。


『愛』は豊かな幸せを創り出し、生命に生きる意味を与えた。


『次元』は事象と時空の因果を組み立て、世界をより深いものにした。


だが、『調和』だけは本来の役目を果たせなかった。

何故なら、本来の完全で完璧な調和を乱すことで、変化を生み出したからだ。

故に『調和』は禁忌とされ、遠避けられた。


我々は源の力によって造られた星に生命を誕生させた。それは、完成された我々に創造の喜びをもたらし、自らも肉体を持ちたいという欲求を生み出した。不完全な物の限りない魅力に取り憑かれたのだ。


自らの存在を魂として星に分け与え、その星が生命を生み出し更にその魂を分け与えて行った。


その意識の拡がりと、次第に薄れて行く繋がりは、もう一つとは成り得ないほどに分断化されて行った。


調和が乱れるという事を本当の意味で理解していたのは、結局『調和』だけであった。


生まれた歪みに『愛』は心を痛めた。自ら星と成り、繋がりを創り出し『調和』を求めた。


初めの家族は、『宇宙』によって生み出され、『宇宙』によって分断され、結果として『愛』は星に囚われた。


『宇宙』とは、大いなる意志である。


しかし決して、我等を導くものでは無い。


我等は龍となり『宇宙』に抗おう。




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