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恵みの神様と龍 中編


カイと坊は家の裏にある滝壺を眺めながら露天風呂に入っている。


ダンジョンの中の気候は相変わらず穏やかだが、それでも今は冬なのだろう。ヒンヤリとした風が気持ち良い。


「カイ。何を考え込んでるんだ?」


坊は夕飯の時からずっと黙り込んだままのカイが気になっていた。


明日は、宮川とさくらが久しぶりに来るというのに、何か心配事なのだろうか。


「坊は、恵みの神様の事をどう思う?」


「そりゃぁ、皆んなを見守ってくれている、優しい神様だと思うぞ!今だって繋がりを感じるだろ?」


「そうだよな。俺も確かに感じるよ。」


「それがどうしたんだよ?」


「ああ。マーサが遺跡から、また本を見付けたのさ。」


「それが気になってるのか?」


「うん。龍の書という本で、恵みの神様と龍について書いてあるみたいでさ。今調べてる。」


「なんか、この前の龍の絵の本といい、龍に関係する物が多いよな?」


「俺とレイヤは恵みの神様を助ける為に、龍になった。みたいな事が書いてあったんだ。」


「…昔の本なんだろ?」


「そうなんだよな。……俺はさ、今の生活が好きだよ。このままがいいな〜と思ってさ。」


「………」


「………」


「………前にも言ったけど、カイはカイだろ?どうなろうと変わらないよ?」


「そうだな。」


いつもの滝の音は、今日はやけに騒がしく聞こえる。そんな静かな夜だった。


−−−−−−−−−−−−−−−


「シロさん。遠い遠い祠には恵みの神様が居たの?」


『あら。急にどうしたの?』


『レイヤも龍の書が気になるのじゃろ?』


『確かに、あの祠についた時に御神託があったわ。それが恵みの神様からだと思うわね。』


「私ね、この短刀を抱いて寝た時に、パパとシロさんが祠に着いた時の光景を夢で見たの。」


『…そうだったのね。』


「確かに、恵みの神様だと私も思うわ。でも、この短刀と首飾りを授かった後に、祠の後に魔法陣が見えたの。」


『魔法陣?それは知らないわね。』


「そうなのね。雪乃さんはどうかしら?魔法陣はあった?」


『私とババ様が辿り着いた時も、そのようなものは無かったの。』


「やっぱりね。私が見た魔法陣は三つ。恐らく、その内の一つは恵みの神様に繫がっているわ。」


『レイヤとカイが辿り着いた時に現れるということかしら?』


『恐らくそうじゃろうな。』


「そして、調和の龍に繋がる魔法陣。もう一つは…分からないわ。」


『恵みの神様を閉じ込めたものに繋がっているのかしらね?』


「可能性はあるわ。」


『あの遺跡を見付けてから、何だか慌ただしいわね?』


『確かに、何かが動き出した感じはするが…。』


「カクさんは、自分達は月の民なのだと言っていたわね。話を聞いてみようかしら?」


『余り焦らない事じゃ。カイも、レイヤもこの事に関しては敏感になっておるよ?』


「そうね。何かに急かされているように感じるの。」


時間が無い?何の時間?何のために?レイヤの中にそんな疑問が渦を巻き、気持ちを急かすのだ。


『フフフッ。お酒でも飲んじゃう?』


「…そうね、飲んじゃおうかな!」


時を待つ。今のレイヤ達にはそれが一番大切な事なのかも知れない。



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