新しい女子会
カイ達の新しい家には、皆それぞれの部屋があり、もう既に荷物を運び終わっていた。
シロ、雪乃、カイ、坊、レイヤ、サラ、ババ様、マーサ、カクさんとツキヨ、ぴーちゃん、クロ、ミケ、ソルと大所帯である。
朝ご飯を食堂で食べた後は皆それぞれ出掛けていく。
サラはシリウスに出勤する。
マーサとソルはマーサの宿や遺跡に調査の為に出掛ける事が多い。
ぴーちゃん、クロ、ミケはかんちゃんの家に向かう。
カイにレイヤと坊は冒険に出る。
しかし、最近レイヤは何やら忙しい様で、
「今日は二人で行ってらっしゃい?」
と、何処かへ消える事が多くなった。
シロと雪乃は、カクさんと一緒にツキヨのお世話をしている。
夕方になり皆んな帰って来ると、居間の囲炉裏に集まって来る。
夕飯はシロと雪乃が作ってくれる事が多いが、サラやマーサ、ババ様も混じって皆んな楽しそうに話をしながらやっていた。
どうやらカクさんとソルは余り料理が得意ではないようで、その時間はクロやぴーちゃんと遊んでいる様だ。
そんなある日の食卓で、
「…そうなんだね。全く、あの爺さんはいったい何がしたいのか分からないわ。」
マーサがこめかみに手を当てながらこぼす。
「俺が砂漠の決闘の後に家に運んだんだよ?その時は気絶してたけど、そのままベッドに寝かせてきたんだ。」
カイは龍神様を殴った張本人である為、こうなった責任を感じている。
『その後、誰も龍神様を見掛けていないのよね?』
「爺さん引き篭もりだからな!」
『フフフッ、そうじゃな。元々余り出会う事も無かったしのう』
「死んだ訳では無いんだよね?生まれ変わるのかな?」
ミケは意外とタマゴになった龍神様に興味がある様だ。
「どんな龍が生まれるのか、楽しみなんですよ。」
『フフフッ。そうね。もしかしたら、お爺さんが生まれるかも知れないわよ?』
「トラ柄の龍神様も恰好良いな!」
「あはは!そんなわけ無いだろう!」
カイも想像して、思わず笑ってしまった。
『そのうち出てくるじゃろ。心配いらぬよ。』
「そうね。可愛い赤ちゃんで生まれて来る事を祈るわ。」
突然タマゴになってしまった龍神様。
あの決闘以来、すっかり影が薄くなってしまったが、元から龍である為に皆心配はしていない。
「私達の赤ちゃんも、元気で生まれて来て欲しいわね!」
サラはお腹を擦りながら、優しく語りかける。
ババ様も、
「最近は話しかけると、反応するのよ?」
「私もよ!早く会いたいわ!ツキヨを見てるともう堪らなくなるのよ。」
『ツキヨも最近は良く笑うようになったんですよ?』
『フフフッ。三人とも、もう立派なお母さんじゃな。』
『そうね。来年はもっと賑やかになるわね?』
「見習いママが居るから平気よ!」
「私もおむつ替えれるわ!」
「そうね!宜しくお願いするわね?」
「「 うん! 」」
『フフフッ。頼もしいわね。』
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「幸せっていいな!」
「ああ。俺達の幸せだな。」
「坊は見習いパパ落第ですけどね!」
「あはは!坊は落第だって!」
「カイはパパの赤点ですけどね!」
「……やっぱり?」
カイにミケと坊は、相変わらず端に寄ってその光景を眺めているものの、いつもの女子会の様子も微笑ましく見ているのだった。