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【修羅場】

「坂本支配人、目覚めた5人の調査はどこまで進みましたか。」


「事前に収集しているものに加え、このホテルに滞在中の動向、5人の関係性、化け物に変化した者達との関係性、目覚めた後の発言内容と行動の記録映像。以上は個々に報告書が出来ています。しかし、これらの情報からは、なぜ彼等だけが目覚めたのかは不明です。また我々は何故昏睡しなかったのか、何故化け物に変化しなかったのかも不明のままです。現段階では以上です。これがその資料になります。」


「分かりました。この5人に付いては、引き続き観察しましょう。では外周の調査報告を」


「白いオオカミとの遭遇を持って外周調査を中断しておりますが、ホテルを中心に500メートル程で道路、電線等の全ての人工物が消滅しております。地上部のみの確認ですが、恐らく地下部も同様に消滅している可能性があります。」


「500メートル以内にこのホテル以外に存在する人工物、住民は存在しますか?」


「直線距離で450メートル地点に住民4名の集落が有りますが、現地を確認するためには大きく岩場を迂回する必要があり、今回の調査では辿り着いておりません。」


「よろしい。現状を維持しつつ12時間で休息を取るように。」


「承知致しました」


「宮川さん」


「はい。お嬢様。」


「地上に戻ります。資料と昼食をオーナールームに」


「かしこまりました。」


「レイヤ、行きましょうか。」


−−−−−−−−−−−−


地上の部屋へ戻ると、サラは書斎で分厚い資料を読み始める。


レイヤは一人で窓から外を見渡していた。


「ニャ〜オ〜〜」


黒猫のクロがしきりに窓の外を気にしている。


「まあクロ、何か居るの?」


「ニャ〜〜」


窓ガラスをカリカリとしきりに引っ掻き、外に出たいようだ。普段は散歩などせず、寒いのも嫌がるのに珍しい。


「しょうがないわね、少しだけよ」


広い屋上の庭には昨日の雪が降り積もっている。クロはその上を埋まりもせずに歩いていった。


「レイヤ様!お下がりください!」


「えっ!」


クロが向かったそこには、いつの間にか先程モニターに写っていた白いオオカミがいた。互いに身体を擦り付ける様にしてまるで親子の様に仲が良い。


レイヤは元より、柳さえも震えが止まらない程の存在感。身動きひとつ出来なかった。


『アナタが達也の娘ね』


「 !! 」


『ワタシはシロ。まったく、アナタの父親は名付けのセンスが無いわよね。大方この子の名前だって達也が付けたのでしょう?』


「な、パパが…パパを知っている?」


『ええ、良く知っています。』


そこに、異常な何かを感じたサラが飛び込んで来た。


「こ!これは!!」


『アナタはサラね。』


途端にオオカミは、目が眩む程の光に包まれた。


『初めまして、私はシロ。昔、達也に拾われて、共にこの地で暮らしていたのよ。』


そこには銀色に輝く長い髪の女神がいた。その銀色の鋭い視線が向けられて


『結局、貴女に取られちゃったけどね』


「 んなぁーーー!!!! 」


柳はもう余りの展開に失神してしまったのだった。






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