表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/142

次元龍 テラ

「どうかしら?」


「すげー!ついにやったなレイヤ!」


「ああ!凄く綺麗だよ!」


「ピカピカに光ってるな!」


砂漠の遺跡、龍の像の間でレイヤは龍化した。


その體を覆う青く輝く鱗に青いたてがみ 、そして何よりその青く優しい瞳が素晴らしい。見つめていると深く惹き込まれる様な不思議な瞳であった。


レイヤが人の姿に戻ると、髪の色も青く変わり、瞳もあの龍の瞳のままであった。更に龍のアザもカイの様に広がっている。


「その姿も恰好良いね!」


「カイとお揃いだな!」


「フフフッ。親子だもの!」


「あはは!そうだったな!」


「理の力が使えるみたい。と言っても、もう使ってたのよね」


「龍化すると、もっと自然に扱える様になるよ?」


「フフフッ。それは楽しみだわ!」


「レイヤ!さっそく水鏡出してみようぜ!」


「そうね!」


レイヤは亀の模様に触れ、新しい水鏡を出現させた。


「この台座に登録されているのは13箇所ね。ソルの神殿とカメ吉くん、残るは11箇所だわ」


「すげー進歩だな!」


「これは本当に驚くね!」


「うん。自分でも驚いてるわよ。でも、そのうち朽ち果てて砂に埋まってしまった所が6箇所あるわ。」


「あぶねー!砂に埋まっちまうじゃないか!」


「昨日は運が良かったわね?」


「レイヤ以外は使わない方がいいな」


「そうね。マーサさんに伝えてくるわ」


レイヤは居住区を調査しているマーサの所へと向かって行った。


改めて首の落ちた龍を見る。

カイはこの像が気に入らなかった。

あの本も何故か妙に気に掛る。


カイは像に手を向け、


「そなたの在り様を示せ」


途端に像は光り輝き、そして首の繋がった龍となった。

そう、一人の龍に。


『ほう?これは仮初めの生を得たのか。』


「俺が、呼びました。迷惑でしたか?」


『いや、そうでもない。在りし日を思い出すのも悪く無いよ』


「俺はカイ。旅の途中で首の落とされた貴方の像を見つけました。」


『そうか。我は次元龍。名はその次元によって異なるのだが、この地ではテラであったな。』


「俺は坊って呼ばれてるんだ!よろしくな!」


『ほう?そなたは…また酔狂な事をしておるのう。…まあ、良い』


テラはふわっと霞むとカイと良く似た雰囲気の男性に姿を変えた。


『この地に留まれるのはそう長くはない。何か話したい事はあるか?』


「俺は最近源の龍として覚醒したばかりだ。その前は人であった。龍として生きる事とはどういう事なのか、それが聞きたい」


『そうか。良いだろう。』


テラは台座に腰掛ける。


『まあ、座れよ。』


そう言って笑う姿は、本当にカイの様だ。


『龍とはな、力そのものだ。人では無い。』


「………」


『まして生きてはいない。だから、生き方など無いよ。』


『我は次元を渡り歩いている訳では無い。次元そのもの。』


『カイは原初の力そのものということだ。』


『まだ人で在りたいのなら、余り力は使わぬことだな。』


次第にテラの體が光り始め透明になっていく。


『そろそろ時間だな』


「テラ、ありがとう」


『お前は良い龍だ。また会おう』


テラが消えた後には、首の繋がった龍の像があった。


「カイ。辛いのか?」


「俺には皆んながいる。辛くなんか無いさ!」


「そうだな!オレもそうだ!」


カイは知っている。カイと坊は同じだ。だからこそ、今を精一杯楽しんでいるんだと。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ