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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
神聖アリス教国建国編
62/222

第62話 帰るまでが建国祭2

 都市国家シュゼールに作った川は、その後も流れ続けていた。それから、キリリス諸島の漁民は、その後シュゼールにも海産物などを売りに来ているようだ。川の水位に変化はないようだったが、シュゼールの用水路も流しっぱなしはやめて必要な時だけ流すように水門を作って貰うことにした。溜め池は俺が作っておいた。もう慣れたもんだ。土木工事に慣れた新王ってのもあまりいない。


 シュゼールは漁業と貿易の港ではあるが、南国リゾートのピラールほどではないが白いビーチに人気があるという。これを北の国ナディアスから来たパメラが食い入るように見ていたので少し遊ぶことにした。意外だったのはカセーム王国のクレオも同じだったこと。カセームは南国だが、大きな湾がないので遊べるビーチはないのかも知れない。


「わらし、こんなに綺麗で暖かい海で遊ぶの初めてです」パメラは「わたし」と言ってるつもりなのかも知れないので、突っ込むのは止めておく。

「あたしも、はじめてなの」クレオは「あたし」なんだ。

「クレオ、近くに海あるじゃん?」と一応聞いてみた。

「崖があって、危ないからダメって言われるの」

「あ、なるほどね。ビーチじゃないもんね」

 大体、カセームの海は外海なので波が荒いし流れが速い。子供が遊ぶのは無理なんだろう。シュゼールは湾だから波も静かだ。まぁ、カセームの街道は舗装したから、ピラールへは行き易くなった。これからは、変わっていくだろう。


 最も意外だったのがミゼール。最初は「子供の遊び」とか言ってたのに浜辺で一番はしゃいでる。パメラとクレオを引き連れて走り回っているのを見ると、子供の頃にあんまり遊んでなかったのかな? まぁ、折角だし思いっきり遊んだらいい。

 それを見ていてナエル王の妹で侍女見習いになる第五王女シュリ・シュゼール(十三歳)も加わった。子供達は直ぐに仲良くなってミゼールを追いかけまわしている。


「まって~っ」

「こっちだよ~っ」

「まって、まって~っ」一番最後で追いかけているのがクレオ。シュリが一番早くてミゼールに追い付きそう。

「シュリはやいね~。戦士になるか?」おいっ。やめろ。

「え~? どうしよかな」迷うなよ。侍女にしとけ。

「ミゼールはやっぱ、侍女じゃなくて故郷で女戦士したほうが……」

「ごめん、悪かった。今のは無かったことにしてくれ」


  *  *  *


 次のオキ神国に到着する前に、俺はキリリス諸島の漁民の村に立ち寄ることにした。俺の不手際のせいで、問題起こしたのだから確認のためだ。もっとも、シュゼールで漁民の話は聞けたので特に心配はしていない。


「リュウジの旦那、よく来なすった」村長が言った。あれ?

「調子はどう?」

「へい、もう何も問題ありぁ~せん。それどころか、シュゼールでもオキでも俺たちの魚を沢山高く買ってくれるんで、ありがたいやら申し訳ないやら」

 何か優遇でもしてるのかと聞いてみたが、オキ神国は特に何もしていないようだ。

「高いのは、魚がいいからじゃないか?」

「へい。危ない流れが無くなったんで、今まで採れなかった所の魚も採れるんでさぁ。そんでもって大漁で」

「うん? ああ、危険な岩場を吹っ飛ばしたからか。良かったな。ま、あまり採り過ぎると採れなくなるから気を付けろよ」

「そりゃ、旦那に言われるまでもねぇです」

「そうだな。そういえば、川の水位はどうだ?」

「最近は、だいぶ戻って来てるんで、心配ねぇです」

 どうやら、流れ始めた時には一気に引いたが、安定してからはそれほどでもないようだ。まぁ、俺がかなり消し飛ばしたしな。

「そうか。じゃ、元気でな」

 俺は、安心してオキ神国へ向かった。


 オキ神国についてみると、魔法共生菌の報告が何件か入っていた。前回来た時に特効薬のサンプルを置いて行ったので重篤者には対処できたようだ。この大陸の東部では当面警戒が必要だろう。

 この首都の医師たちに集まって貰って大陸連絡評議会で決まった魔法共生菌特効薬配布計画の説明した。同時に情報交換も実施し、持ってきた特効薬を渡した。アイデス王国と東方諸国連合間の戦争については、隣国なので既に少し噂されていたが、原因が魔法共生菌だった事を伝えておいた。医師から正しい情報を伝えるのが、一番いいと思ったからだ。


 オキ神国の侍女見習いは、法王の四女マナ・オキヒ(十四歳)になった。

「わたし、マナといいます。よろしくおねがいします」

 ちょっとおっとりした感じの子だった。ミゼールに渡しておけば、とりあえず大丈夫だろうが性格が変わらないことを祈る。なんとなく侍女隊と言いそうな雰囲気が出ているからだ。侍女って、侍ではないよ? ただ、ミゼールは「隊長」と呼ばれている。ヤバイかも?


  *  *  *


 東方諸国連合は、このところの戦乱で荒れていたが元々水は豊富で、この衰退する大陸にあって珍しく環境の整った地域だった。特に今の連合代表を務めているナミア王国は農業国で豊富な水を使って米の栽培もしていた。個人的に仲良くなりたい国だ。

 ただ、聖アリステリアス王国とはキリ山脈で隔てられているため普通に考えれば南回りの海路しかない。ただ、これだと神聖アリス教国まで早くても一か月かかる。自動乗用車や神魔動車で早くなったと言っても陸路だけで半月ほどかかるからな。海路は天候によるし、なんとかしたいところだ。

 ここはキリ山脈の山を吹っ飛ばすか? 山脈ではなく直線道路なら神魔動車で頑張れば三日で到達できるだろう。商隊でゆっくり移動したとしても四日か五日で到達できる距離だ。しかも、アイデス王国やオキ神国など東方の五か国の物資の調達もできようになる、これは大きい。

 もちろん、飛行船の定期航路化も考えてはいるが、現状一隻なので予備機が出来るまでは定期便にするのは無理だ。


 ということで聖アリステリアス王国と接続出来そうなキリ山脈の谷間を探すことにした。千里眼でめぼしいところを洗い出して飛行船で確認する。飛行船にいる王族は既にナミア王国とアイデス王国の二か国なので、大きな期待を持って一緒に探してくれた。


「キリ山脈はロズ山脈程の高さはないが、なだらかな山が多くてトンネルは難しいでしょうな?」俺がナディアスに開けたトンネルの説明をしたあと、ナミアのワレスト国王は残念そうに言った。

「そうですね。普通にトンネルを掘ると、とんでもない長さになるでしょう」

「やはり、あの曲がりくねった渓谷を抜けていく道が一番近いのでしょうか?」ワレスト国王は、その道を知っているようだ。


 この古くからある山あいの道はアイデス王国も利用している。現在の流通量は少ないが、むしろアイデス王国のほうが新しい交易路に期待を寄せている。貿易品が穀物主体のナミアに比べ海産物であるアイデスは届けられる日数で売れるものが決まってしまうからだ。


「そうですね。直線で結ぶことも出来なくもないでしょうが、あまり無理すると、その後の崖崩れなどの災害が懸念されます。……ここはトリミングでいくか」

 そんなこと言ってもこの世界の人間に分かるわけはない。木工のドリルで一定の深さを保って穴をあける工具があるのを思い出して、ちょっと似たようなことが出来ないか考えてみたのだ。

 何をするのかと言うと、ドリルの代わりに一定の太さと長さの熱源を飛行船から降ろし、飛行船を一定の高度で移動すれば、下に曲がりくねった平らな道が出来るというわけだ。曲がっていても高度が一定だから上り下りが無く楽に移動できるだろう。そう、説明してみたら。


「…」と、ワレスト王。

「…」これは、ノミナス王。

「ええっと」

「よく分かりませんが、山の中に平坦な道を作ると?」とワレスト王。なんとか理解してくれたようだ。

「そうなります」

「そんなことが、出来るのですか!」とワレスト王。

「面白そうじゃのぉ」と、一人だけ目的が違うかも知れない人がいた。王様、絶対そこを走ろうと思ってるよね? ヘアピンカーブとかを想像しているよね? ま、名前は知らないだろうけど。

 実際にはナミア王国と聖アリステリアス王国で標高が違うので緩い勾配の道になる筈だ。


 とりあえず、現状の山道の地図を作成してみんなで話し合った。付き人の中に以前通ったことのある人がいたので難所などの話も聞けた。特に急勾配の箇所がいくつかあって難儀したとのこと。沢を2箇所越えるとのことなので橋を架ける必要もあるようだ。この沢を埋めてしまうと大変なので要注意だ。距離的には短いので橋は簡単に作れるだろう。

 後は斜面を切り取って断崖になる部分を補強する。岩盤ならまだしも、崩れやすいままにはしておけない。山の上からの崩落もある。場合によっては一部トンネルにする必要があるかもしれない。


  *  *  *


 結果的には、二か所の橋を作るだけでトンネルの必要はなかった。森の火事を消化する必要があったが。

「これで、大丈夫でしょう」

「これは、世界が変わりますね」とワレスト王。

「左様、名実ともに、わしの国が隣国になったわけじゃな」

「そうですな」

 聖アリステリアス王国国王とナミア王国国王が感慨深げに話す。

「あの森林地帯には、わしの別荘もあるしな」

「じゃ、道を作りつつ帰りますか」

「そうじゃな」


 勿論、出来上がった山道を最初に走ったのはヒュペリオン王だった。王様が遊んでる間に、俺は以前約束していた別荘の自動乗用車用コースの舗装をしていた。トリミング方式で簡単だったし約束だからな。

 侍女見習いは、アイデス王国ノミナス国王の三女ミリス・アイデス(十四歳)と東方諸国連合からはナミア王国ワレスト国王の五女スノウ・ナミア(十三歳)が乗ってきた。ミゼールは学校の引率の先生状態である。お疲れ様。


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