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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
神聖アリス教国建国編
60/222

第60話 神聖アリス教国-建国宣言-

 神聖アリス教国の建国祭が始まった。三月の第一週をまるまる建国祭とし、前半の三日間に各種イベント、中日に建国宣言、続く三日間に各国の折衝等を予定している。特に今回は大陸連絡評議会の提案とホットラインの確立を目指している。


 初日のイベントは神魔動車レース。セレーネ街道で地獄谷への往復時間を競う。聖アリステリアス王国の国王と神聖アリス教国の国王が姫三名を巡って自動乗用車で勝負したという曰く付きレースは、誰もが知っている。それ以来、何かにつけてレースが行われている。今更否定も出来ないし、もう勝手に盛り上がればいいと思う。ちゃんと申請してくれれば許可します。行政担当が。


 二日目のイベントは神魔動飛行艇レース。これはアルテミス街道とリリー街道を合わせた往復レースだ。アルテミス街道とリリー街道は首都アリスを中心に、ほぼ直線の街道になるので、この国の一番長い道になる。これは今回初めて実施するレースだ。

 レースは、空中を飛ぶので街道を走るわけではない。あくまでも街道はガイドラインだ。Uターン地点には直径十メートルのポールが建てられていて、このポールを回って往復時間を競う。地面に触れたら失格で、ポールの高さを超えても失格となる。


 リリー街道は正確にはリリートンネルを抜けてナディアス自治領まで到達しているが、このレースではトンネル手前でUターンする。流石にトンネルに突っ込むアホはいないと思う。


 三日目は建国宣言のパレード。四日目は祝賀パーティーだ。祝賀パーティーで建国宣言を行う。まぁ、要するに各国代表を呼んだその前で「建国するぞ、文句ある奴は出てこい」って言うわけだ。


  *  *  *


 王城の上空を、女神の紋章を付けた純白の飛空艇部隊ホワイトインパルスが虹色のスモークをたいて飛行した。大ホールの祝賀パーティの始まりである。


「これほど、珍しい食材を見るのは初めてじゃ」とオキ神国のラーセル法王。

「これは、何ですか」

「ああ、それは最近手に入った毛ガニという海の幸です。肉は柔らかくて旨いですよ」

「ほう、頂こう」と言って、口に運んだ。流石に、殻から取り出してある。

「うむ。これはジューシーで深いうま味がありますな」なかなか好評のようだ。

「こちらは、南国の島にしかない果実です。おひとつどうぞ」

「まぁ、控えめな甘さといいほんのりとした香りといい、とても上品な果実ですわね」とある淑女にも好評だ。

 ナディアスの毛ガニやルセ島の果実を始め、飛行船と一緒に持ち帰った食材が大好評である。


 そんな中にカセームの新王ピステル・カセームがいた。

「楽しんでますか?」俺は声を掛けてみた。

「はい、とても珍しく美味な料理に驚いています」素直な感想らしく、脇には空の皿が積まれていた。

「それは良かった」ピステル王の笑顔は中々いい。うん?

「ところで」ピステル王は皿を置いて向き直って言った。

「はい?」

「クーデターの話は先日お話した通りなのですが」

「ええ」

「実はクーデターの最中、私は胸に剣を受けました」

「そ、それは難儀でしたね」

「はい。ですが何故か心臓を避けて一命を取り留めました。しかも、化膿もせず直ぐに回復しました」

「ほう。それは僥倖」

「これは、あなたから貰ったこの指輪に関係があるのでは?」そう言って謎めいた目をした。なるほど、ピステル王の笑顔の正体はこれですか。

「さぁ、どうでしょうか」と言ったものの、あんまりすっとぼけるのも良くないと思った。ヒントくらいはいいか。


「あなたはあの時言いました。『国の大事は自らの力で成さねば意味がない』と」

「はい。今でもそう思っています」ピステル王は、はっきりと頷いて応えた。

「確かにその通りです。しかし、国も人も単独で存在しているわけではありません。常に他の国、他の人とその運命に影響し合っています」そう言って俺はピステル王を見た。もちろん、ウリス様の受け売りだ。

「はい」

「あのときあなたは、馬を駆って俺のところへやって来た。それで運命が変わったとしたら。それを変えたのはあなたではないでしょうか。俺は、そう思います」

「なるほど」ピステル王は、一瞬笑顔を消して考えていたが、納得したのか素直な笑顔に戻って言った。

「ありがとうございます」


 魔動花火の打ち上げが始まった。もちろん火薬を使うのだが、打ち上げ装置とか色合いとかでちょっと工夫している。っていうか、花火職人じゃない俺にはマトモな花火が作れないので誤魔化してるだけなんだけど。とりあえず、真っ暗な夜空に大輪の花が開いた。王様が自分で作って打ち上げる花火ってどうなの?


  *  *  *


 五日目の各国代表との初の会合で、俺はこの大陸の国々による大陸連絡評議会を提案した。ちょっと面白いのは、大陸連絡評議会は神聖アリス教国の提案ではなく俺の提案ということだ。

 国同士はあくまでも対等で俺が異常な実力を持っているという構図だ。国家間の対等な関係に慣れたら俺は抜けようと思っている。そうすれば、地球で言う国際機関の出来上がりだ。まぁ、国際機関の概念が無いので暫定措置だ。

 俺は国の統治はしないけど、こうして国家間の調整をするつもりだ。


 とはいえ、国家間で多くの約束事を決めるつもりはない。最低限の連絡を取り合おうと言う程度のものだ。今回は招待できていない国や民族もあるのでメンバーの判断で大陸連絡評議会に誘ってもらう予定だ。


 また、大陸連絡評議会に参加を表明した国には、神力フォンを各国に三台づつ渡した。今後、地上界では魔動フォンが一般に売られるが、大陸全土をカバーして常に連絡を取れる特別な電話だと説明した。

 個別の呼び出しパターンと、全員呼び出しの同報パターンが登録されていて、同報パターンは電話会議用だ。


  *  *  *


 大陸連絡評議会の後で、実際に皆の前で神力フォンのデモをしてみた。


トゥルル トゥルル トゥルル

「おおっ」ミゼールだ。

「いや、驚いてないで出てよ」

「あ、これか。はい」

「聞こえる?」

「誰じゃ?」

「リュウジだけど」

「ああ、そうだな。目の前にいるのになんで、これで話すのだ?」話を聞いてたか?

「いや、だから使う練習だよ。ちょっと離れるぞ」そう言って俺は数メートル離れてみた。

「あ、なるほど。お~いっ」

「いやいや、大きな声出さなくていいから。五月蠅いから」

「あはははっ。面白いな~これ」ミゼールは、気に入ったようだ。

「あ、でも国に帰らないんだったら、ミゼールは要らないか?」

「居るけど、要る」お前それ、分かるけど普通分からないぞ。


 各国の代表も、珍しそうに弄り回したり実際に話してみたりしていた。

「あ~っ、わしだが」

「おお、私です」お前ら、誰と誰が話してるのか今は分かるが……ま、いいか。操作さえ覚えればいい。ただ、オレオレ詐欺に引っ掛かりそうで怖い。


「リュウジ王よ、これは何度まで使えるのか?」とナエル・シュゼール王。

「ああ、回数の制限はありません。一年くらいは持つでしょう。まぁ、切れたら神魔動モジュールを交換するだけです」


  *  *  *


 大陸連絡評議会の最後に、各国から神聖アリス教国との絆として姫を一人妻として迎えてほしいという話が出た。まぁ、昔の価値観だと分かるんだけど、好きでもない奴に苦労させられるのは嫌なので丁重にお断りした。俺は好きな女のハーレムは作ってもいいが嫌いな奴は全力で拒否るのだ! って、威張るほどの事ではないが。

 ではせめて侍女見習いを派遣させてくれと押し切られた。まぁ、国同士のパイプにはなるかと思い承諾したが、これはちょっと判断ミスだったかも知れない。


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